〈その5.弱い21歳〉
僕が尊敬する文章家の方はすでに60を遠く昔に超えている。
その方が先日のエッセイで20歳の自分を振り返っていた。
弱い人間だった、そもそも若いのに強い人だったとしても、でも弱い部分が必ずある。それが魅力の源だったりする。
ざっくりこんな感じだった。
確かにその通りだ。バイト先の先輩がいくらアホなことをしていると笑っていても、そのアホなことで笑えるメンタルは僕にはないなあと思う。亀の甲より年の功なんだろうな。
どんな先輩でも間違いなく僕より優れている点が多い。だから間違いなく尊敬するし、今後もその姿勢を変えることはないのだろう。
ここで大事なのが後輩の存在。この考え方でいうと、後輩より僕の方が優れている、としてしまっても良いかもしれない。
しかしそれが通用しないのが人間の好きなところ。年下でも間違いなく僕より視野が大海のように広く澄んでいて、それでいて思考が底なし沼のようにどこまでもずんずん進んでいく。
だから、スタンスとしては目の前の誰でも俺より賢いし、面白い人だと思うようにしている。
"思うようにしている"というのは、それができていないからなんだけどね。未熟なものだ。
いつかは歳を気にせず嫉妬し、教えを請える素直な人になりたいな。
もっとinterestingな心揺れる文章を書けるようになりたい。そのためには歳をとるのが一番早い解決策なのか。