ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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〈110.夢の国の話〉

今日は待ちに待った全豪オープンを見てきた。テニスの世界最高峰の戦い。いやあ。すごいのなんの。

だけど僕は少し悔しくなってしまった。恥ずかしいことに。

 

 

朝少し遅く起きて、会場へ向かった。路面電車を乗り換えて20分ほど。駅を降りると目の前に入口がある。大きく去年の優勝者の写真が広げられている。

 

かるーく荷物検査を終わらせ、お目当のコートに向かう。王者フェデラーの練習だ。開始まで1時間ほどあったので、会場をふらふらしたり、他に練習している選手を見てまわった。その時点でもう感動がすごい。歩けば化け物がウヨウヨしている。もちろん、僕らみたいな観客もテニス好きなわけだ。楽しくて仕方ない。

 

王者の練習は応援団やら観客やらで道が封鎖されるほどだ。僕たちは練習コートの上にかかっている橋の上から見た。練習だから脱力しているのは当然なのだが、なんというかそんなフォームからそのスピードとコントロールできるのか?!っていうしかない。わけわからん。あれは謎だ。色眼鏡がかかっていたとしても、それからいろんな選手を見たが、フェデラーだけは異様だった。バケモノ。一般人には勉強にならん。ただのショーとして見るしかない。すげえ。

 

次に隣のコートで練習していた、女子の昨年優勝者、ウォズニアッキを見てきた。あんまり有名人とか有名選手のファンにはならない私だが、唯一ウォズニアッキだけはファンだ。コート外の笑顔とコート内での鬼の情熱のギャップに心奪われまして。テニスを始めて十数年、ようやくお目にかかれました。テレビで見るより背が高くてスラッとしててかっこいい。そしてかわいらしい。そしてイカツイ。まさにコレっていうプレイヤー。女子であんだけ打てるんだから俺でも打てる!打ちたい!いやあ。すごかった。勉強になった。もうちょっとでサインもらえそうだったんだけどなあ。今度は試合の応援に行こ。

 

ここまでにすでに2時間と30分くらい。朝飯も食べずに暑いところにいるとさすがに疲れてくる。出店でホッドドックを食べました。カードオンリーの支払いで少しびびった。

 

食べながら、男子シングルスを見た。バシラシビリっていう最近よく名前を見る選手。いままではよくわかってなかったけど、生で見るとかっこいい。相手のイタリアの選手も劣らず打ち合う。まさに男子なハイレベルな試合だった。サーブは200km/h前後、少しでも甘くなれば瞬殺。かっこいいなあ。それにしてもハードコートでよく走りまわれるな。靴とコートが擦れる、キュキュっていう音が全ポイントで鳴り響く。フットワークがすごいや。

 

試合の途中だけど、少しパーク内を歩くことに。他にも名だたる名選手があちこちでやっているし、僕が知らない選手でも国を背負って戦っているだけあって、どのコートでも激戦。どれ見たらいいからわかんないや。たぶんあれだ。ディズニー好きがディズニーランドを永遠に楽しめるのと同じだ。俺にとっちゃここがまさに夢の国だ。

 

友人がダブルスを見たい、ということで、スペインの名選手F.ロペスのダブルスを見ることに。イケメンやんけ。ペアのM.ロペスにすごく親近感が湧く。一方でFのほうは、背も高いしイケメンだし、うまいし。ドロップショットなんかも混ぜてくる。空気はチームロペスなんだなあ。相手チームのマイエルとソウザもうまいけど、この感じだとチームロペスの圧勝か。

コートを移動した後にチームロペスが負けたことを知った。むむ。あの状態からひっくり返したか。やっぱりダブルスは一瞬で流れが変わるんだな。改めて勉強になった。

 

その次にダブルスと言ったらこの兄弟。ブライアン兄弟を見た。相手は地元オーストラリアの二人。会場は世界一と地元の期待のぶつかり合いで大興奮。ポイント間の25秒で応援合戦がすごいすごい。まさにエンターテイメントだ。はっきり言って、サーブもボレーもラリーも世界一とはいえ他選手とほぼ同等。ただ、世界一の兄弟は反応の速さと球種選択が飛び抜けている印象を受けた。そこでそれかあ!と不意を突くショットが連発。カウント的には競った試合だったけど、そういう小さい実力差が重なってブライアン兄弟が勝ったそうな。

 

我々は試合途中で隣のコートに移動した。我らが日本の期待の星、西岡良仁の登場だ。相手は10シードのロシアのハチャノフ。身長差27cmの戦い。厳しい展開になること間違いないが、どこまでやれるか。シード食いなるか。他の試合はジュースをちみちみやりながらだったが、これだけは拍手と熱視線で応援させていただいた。

はっきり言って、錦織選手以外の日本人選手がここまで世界と戦えるとは思っていなかった。ハードヒットは圧倒的にハチャノフが優勢だっだが、それをしつこくしつこく粘り、時折みせるカウンターには脱帽。日本人選手最近すごいよね、でも結局錦織なんでしょって思っていました。すみませんでした。

数字では3-6,3-6,3-6のハチャノフの圧勝。だけど、途中の長いデュースでの驚異的な西岡選手の粘りとここぞという時の攻め。最後、粘りが通じないと悟った時の攻めに変えたその心意気。すごい。

だが、世界の壁の厚さ。あんだけ粘って取ったポイントとただ一本のドカンと重いサービスエース一本がおんなじ1ポイントなんだもんなあ。サーブ力、リターン力、切り返し能力がマストなんだなあ。その上にどうするか。うーん。本当に勉強になった。

 

西岡選手の熱戦を見届け、少しお買い物タイム。オーストラリアは物価が高いけど、お土産は納得いく値段なんだね。もっと値上げしてもいいのに。優しい国だこと。だけど僕はパーカーひとつ買うだけだよ。お金なんてないんだから。

 

本日2個目のホッドドックを片手に次の試合はどうするかとふらふら。すると、なにやら賑やかなコートがある。コートの周りを派手にペインティングされた壁に囲まれた3番コートだ。おお!ディミトロフじゃん!見にいくべぇよ!

 

試合はすでに第2セット。シードのディミトロフが優勢ではあるものの、ウルグアイのベテラン、クエバスも引けを取らずコートにハードショットをぶち込んでいる。これはいい試合になりそうだ。19時をまわっても明るいメルボルンで体内時計はぐちゃぐちゃ。既に疲れていたはずだが、目の前の激戦がどこかへ吹っ飛ばしてくれた。

 

お互い200km/hを超える弾丸サーブとどこからでもお構いなしにぶちこんでくるカウンターショットの応酬だ。特にクエバスは押されている展開なのだが、まるでそれをわかっていないかのように遠慮なしにスピードボールで攻め立てる。これには観客も大興奮。足を踏み、手を叩き、声を叫びあげ、熱狂の渦に飲み込まれた。なんと第2セットは暴れるディミトロフを抑えクエバスが取り返した。

続く第3セット。変わらずハードヒットの殴り合い。ここまで殴り続けたら流石に隙が見えだすクエバス。対するディミトロフは鬼の体幹と変わらぬスイングスピードで食い下がるクエバスを力で振り切る。見ているこちらの体力が持たない!

時計を見ると既に20時50分。さすがに明日の体力を残すために帰ることに。

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一日中、激しい戦いの世界に身を置いてみるとフツフツと自分の中に埋もれていた戦闘モードがここぞとばかりに俺に語りかけてくる。

 

おい、お前、テニスしたくないか?

 

俺はテニスがしたい!もう一度あの脳汁溢れる、まわりが見えなくなるあの感覚に身を投げ、泳ぎ、そして果てたい!

帰りの電車の中、友人にウザがられるくらい、復活したらどこまで頑張れるか一方的に計画を練った。とりあえずあいつらとの差は体力と筋力だな。

 

もちろん、あいつらには追いつくことはない。それくらいわかってますよ。

 

でもね、もう一回だけ。一回だけでいい。試合に出たい。"自分との戦い"とかかっこいいこと言わず、ひたすら相手を打ち負かすだけを目的に復活したい。

 

昔頑張ってた人、じゃなくて今はもうダメになったボロクズでいいよ。そっちのが生きてるじゃないか。恥じるっていうのは生きている感覚っていうらしいじゃないか。恥ずかしくもう一度テニスコートに立ちたいぞ。

 

だから僕は恥ずかしいけど、悔しいからメルボルンの夜道を走ってきましたとさ。病み上がりにはただの修行だった。修行でいいんじゃん。

県大会出場目指して頑張るぞ。

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