〈140.楽しい後は眠いのです〉
イヤホンからは音楽が流れている。
歌詞がない音楽が流れている。
ただのBGMだ。
ただのBGMなのに空気を作りはじめる。
妖しい空気も墓場の空気も昼下がりの街の空気も雨上がりの朝の空気も。
音楽って無限の世界だ。
言葉を使わなくても伝えるってことができるんだ。
今日の楽しかった夜の空気も音楽で表せるんだろうか。
意気投合の空気。沈黙の空気。冗談の空気。盛り上がりの空気。そして、お別れの空気。
表現ってすごいなあ。
せめて言葉くらいは綺麗に伝えたい。
量ではなく、短くて、それでいて鋭いもので。
いつかだれかの心に届ける日が来るんだろうか。
今日は頭が働かない。楽しいアルコホリックな夜だから。