〈155.ヒゲおじさんの空港〉

関西空港にようやく辿り着くと、赤帽子やら緑帽子とヒゲのおじさんやら頭がキノコの少年、亀の怪物が出迎えてくれる。そして日本語でおかえりなさい、と小さいキノコ頭の女の子が手を振っている。この絵はすごく気に入っている。日本の顔がゲームキャラなんて平和な国じゃあありませんか。

中国での乗り換え時間、とあるゲームの動画を見ていた。リアルな人間の表情と動き。でも人間ではなくアンドロイド。そのアンドロイドが自由を求めて、人間に対して平和的デモで戦う、というような内容だ。もちろん舞台はアメリカ。自由は勝ち取るもの、という信念がアンドロイドにも通っているのだろう。

うーむ。自由といふものは、むっつかしいものだ。飛行機の窓からぼんやりと雲を下に見つめている。日本人にとって、自由っていう概念はアメリカやらアフリカやら勝ち取った国の人たちに比べて重要でもないのかもしれない。基本的に自由なまま歴史を編んできた。僕らは自由より何を大事に思ってるんだろう。アンドロイドが人間と対等の権利をアメリカで求め始める時、日本のアンドロイドはどんなことを求めるのだろう。

夕飯は近くのラーメン屋に行った。人気の店で30分並んだ。おいしいものを求めて時間を消費できるなんていい国だ。同じ頃、ネパールの山の村は農作業から帰ってきている。ケニアの若者は賑やかに昼飯を食べ、肉体労働に勤しむ。アメリカの学生はどんちゃん騒ぎをしてそのまま眠りにでもついているのだろうか。

これは不公平なのだろうか。我々が自由なのだろうか。

村社会で生きる限り、日本の生活に比べ、細かくポストを気にする必要は様子はなさそうだ。

幸せってなんだ。自由ってなんだ。生きるってなんだ。

定義はとりあえず後回しにしていいでしょう。我々が思うように生活をし、思うように選択すること。これが自由であり、生きることなのだろう。それが奪われているなら求め、動けばいいだけなんだろう。

2週間ぶりに自分のベッドにダイブする。僕はこれさえあれば、これのためなら自由を求めようかしら。友人が残していった日本酒でもいただくとしよう。

紀行文みたいな事実を書くのは苦手だよ。昔っから日記は苦手だったさ。人様に自慢できるような毎日は営んでないのさぁ。やっぱり感想文やらどうでも良いことを書くのが一番はかどるよ。

ああ、平和っていいな。