〈185.優しい令和の時代がいいな〉

賢者は長い耳と短い舌を持つ。

前にもどこかで紹介した言葉です。大辞林第三版はこんな風に教えてくれます。

賢い人は他人の言うことをよく聞き、自分の言い分を主張することが少ない。

先日。いつもの通りTwitterをぼやぼやとしていると、ひとつの"拡散希望"とタグ付けされた投稿が目に入った。

"老婆が犬を軽トラの窓からリードを持って散歩させている。足が悪いからと主張するが、犬が排気ガスで苦しそう。"

確かこんな内容だった。

不愉快だった。その老婆ではなく、この拡散希望と銘打ってカメラをまわす投稿者が。

確かに、犬の身からしたら歩き散歩と違ってフラフラできないし、おっしゃる通りガスもいつもより多くて嫌だろう。

しかし。拡散してどうなるの？

犬は健康に散歩できるようになったかい。

老婆は改心して痛みを堪えて散歩したのかい。

それとも、老婆は動物保護法違反として捕まったのかい。

この現状は間違いなく問題を抱えているとは僕も思う。ただ、老婆だけの問題じゃあない。年取って相棒と歩いて散歩できなくなった、これは逆らえない。

カメラを回したあなた。あなたがトリガーになってあげればいいじゃないの。あなたはなにか建設的ななにかを示すことができたのか？これを拡散した末にどうしたかったの。あなたが代わりに散歩してあげりゃいいじゃない。代わりの誰か募集するツイートならいいじゃない。

私もそうだし、動画投稿者もそうだけど、結局おばさんの背景を詳しくは知らないわけで。そんなお外のお庭に土足でズカズカと荒らすのは無礼な気がするのよねぇ。それより、お庭が気になるのであれば、チャイムを押して世帯主に相談するのが優しい世界じゃないの。

社会が問題だらけなのは当然でしょう。人間はいつになっても不完全なんだから。それを補い合って、助け合うのが令和の世の中なんでしょう。不完全だからこそ美しいのよ。

かくいう私も無駄なおしゃべりが多い。建設的でないことも多い。お酒が入れば醜いほどしゃべり倒してしまう。典型的な愚者だ。

やっぱりこれからの社会、すべての問題と自分が必ず繋がっている意識、共生の意識とでも言おうか。これがすごく大事になるんだと思うんだ。せっかくの令和の世の中だ。良い世界にしようじゃないの。良いも悪いもすべて原因はあなた・私にあるんだから。

賢者だったらどうしたろう。

おばさん、私が少し散歩してあげますよ。代わりになる人、探してみませんか。

僕の舌が短くなったらこんなことも咄嗟に出てきてくれるんだろうか。

今日もホウチガを読んでくださってありがとうございます。

さっそく文字数1000字オーバーの饒舌なお話になってしまったねぇ。