ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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{6.コンビニによく来たお客さん}

"あれ、ペンチとかどうしたん?なんかあった?"

"あ、うん。ちょっとね。"

"どしたん?俺やろうか?"

"あ、もう大丈夫。この、この傘直してたの。"

"へー。こんなビニール傘持ってたっけ?"

"うん、持ってたよ。"

"でもわざわざビニール傘なおすなんてどうしたの?"

"え、あ、いや、昔から私ってそういうとこあるじゃん。"

"あーまあそうか。前も突然ベビーカーとか買ってきたしね。赤ちゃんいないのに。"

"そう。そうでしょ。色々私なりに考えてるからね。"

"ふうん。まあいいや。せっかく午後暇になったし、どこか行く?"

"あ、そうねぇ。お買い物出かけたい気分かな。"

"じゃあすぐ行こ。いつも行くモール。あそこでいいでしょ。"

"そうね。そうしよう。着替えるからちょっと待ってて。"

"ほーい。"

 

 

雲がギリギリ耐えている、といった天気だ。なおした傘をせっかくだから使ってみたいと、渋る妻に気づかず、男は私を持ち外に出た。

"…へえ。ずいぶんこの傘しっかりしてるのね。"

"そうね、ちょっと古いから丈夫なのにしたの。"

"そんなビニール傘大事なんだね。俺が前あげたやつはダメだった?"

"いや!全然そういうことじゃなくて!ただ暇だったからちょっと、工作みたいなものだから。"

"ふうん。よくわかんないなぁ。"

"ごめんね。"

"いやいや。やりたいことならいいんじゃないの。ただあなたってどこか掴み所がないというか。時々そういうとこあるよね。"

"…そうねぇ。"

"…。あ、ちょっとお腹空かない?甘いやつ食べたいんだけどこの店入っていいかな?"

"…あ、うん。入ろ入ろ!"

 

そう言うと私を見せ前の小綺麗な傘立てに入れ、店の中に消えていった。

 

"あかんわぁ。こんな時に雨とかほんまツイてない。ちゃんと天気予報見ぃひんからこうなんねんな。"

サラリーマンだろうか?外回りの途中で雨にやられたといったところだ。

"いま何時よ。うわ!もう12時やわ。次んとこ昼前に行っとかないとあかんよな〜。でもここコンビニないし…。どうしよどうしよ。"

独り言が賑やかな人だこと。一人暮らししてると賑やかになるって聞くし、きっとそうなんだろう。

"こういう時は仕方ないわ!うん仕方ない。助け合いだから!すんません!ちょっと借ります!"

私を引き抜き、雨の中男は走り出した。

 

え、ちょっとこれやばいんと違うん?奥さんやばいんちゃうの?俺ん中データあるんちゃうん。にいちゃんあかんて。助け合いとかちゃうって。