〈206.絵心への挑戦〉
こういうエッセイもどきみたいな文章を書くより前の話。僕は絵本作家になりたかった。短くてわかりやすい文章と可愛らしい絵。対象は乳幼児だけども、気づけばお父さんお母さんも入り込んでしまう。そんなおはなしを描いてみたかった。
残念ながら私には絵心がない。教科書の聖徳太子を真似して描いてみれば、人面魚に見られる始末だ。小さい頃から描いておけばよかった。そうすればバカにされることもなく、上手くなり続けることができたのかもしれない。
だけども、絵が上手くなるのも並大抵のことじゃあない。さらには文章力、表現力もとてつもなく必要である。どちらの山もてっぺんは見えないくらい高い。それなら、せめて1合目くらいにはいるんじゃないかと思っていた、文章力にかけてみようと思った。そうして毎日、練習として真似事をしているわけだ。
だけども、やっぱり小さい子向けの文章を書きたいと思った。優しくて飾らない言葉で。しかし、そうなるとやっぱり絵も描きたくなる。しかし、今更山登りを始めたところで…。
そんなこんなで足踏みをしていたら、とある人にすっと前に出て行かれた。ずっと身近であった人。母親である。母というのも絵心はないのだが、話を作るのはうまかった。寝る前の読み聞かせも、創作話を即興で作ってくれた。私がわがままを言えば、それに沿って作り変えてくれた。そんな血だから俺もこうなったんだろう。
ノーマークだった人に通り過ぎられ、俺が考えてたより優秀だったら、やっぱり悔しくなる。あそこで山を登り始めてたら、追い抜かれることはなかったろうに…!しかも自分の何倍も老けている奴に…!
何歳から始めても遅くない、というのを22の若造が言うのもちゃんちゃらおかしい話だ。いまからちびちび練習したら、母の歳になるころにはまともなものが描けるようになるだろう。
だからやっぱり、絵本作家を捨てないことにした。下手で仕方ない。けど、一人で練習し続けるほど自律もない。晒すしかない。晒して、成長できることを示せばいい。
ということで鬼ちゃんです。鬼ちゃんがどんどんイキイキするまで、何百日かかけて描いてみたいと思います。
好きこそ物の上手なれなんだろ!神様頼むよ上手くしてくれ。もちろん文章力も頼むよ。
僕自身のアップデートをはじめないと、なにも始まらないんだね。いつかホウチガのアップデートに繋がるよう、少しずつやっていくよ。笑ってくれや!