ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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〈235.コインランドリー〉

私は洗濯機を捨ててしまった。

脱水もしてくれなくなったし、ゴミを集めてくれる網みたいなところも破れたし、使えなくなってしまった。だから今日もコインランドリーに来ることになっている。

 

このコインランドリーという空間がすごく好きだ。私みたいに、洗濯機を持っていない人もいるだろうし、乾燥機が目的の人もいるだろう。それとも僕の知らない何か事情があってコインランドリーを使っているのかも知らない。

でも、不思議なことに目的は洗濯か乾燥だけで、いろんな身分の人がこの三人掛けのベンチに同席するのだ。

 

7畳程度に洗濯機が4つと乾燥機が3つ。それとベンチがひとつあるだけで、ガラス戸の向こうには大通りがある。外から丸見えの中で、俺は80歳位だろうか、おばあちゃんと同席をしている。会話もない。おばあちゃんは本を静かに読み、私はこうして携帯をいじっている。

 

丸見えだけど、それでいて外と断絶された、不思議な7畳。老婆と隣り合って座るベンチ。この特別な環境がとても好きだ。

 

もう間も無く、おばあちゃんがまっている乾燥機も仕事を終える。そしたら僕一人になる。今と変わらない静寂が待っているんだろうけど、なんかさみしい気がするなあ。なにか話しかけようか。

 

いや、いいや。今日はそういう日じゃなかったんだろう。とても愛おしいような気がする老婆の小さい背中。あぁ。実家に帰りたくなってきたナ。

 

次はどんな人と一緒になるんだろう。その人はどんな人生を歩んでいるんだろう。週一回の楽しみである。

 

最近僕じゃない人もホウチガを書いてくれてすごく嬉しい。やっぱり考えていること、感じたことを伝える、読む、読まれるっていうのは悪くないと思うんだよね。もっと書こう。もっと読もう。楽しいよ。