〈242.ゆとりの新人〉
事実は小説よりも奇なり。
それほど奇でもないが、なかなか面白い体験をしているので話してしまおう。
私はこれまで通り、結局コンビニのアルバイトをしているのだが、大学院生の人はあっていない。そして一応は経験者であるため、新人としても扱いにくいようだ。店長からは即戦力として感謝されることは多いが、学生店員のなかでは関係は希薄である。
ある勤務後の時、先輩(歳は同じだが)が話しかけてきた。
"お前、よくできるよな。他の奴らも啓蒙しろよ。"
あぁ。どうやら後輩としてみているみたいだ。別に歳も同じだし、職場としては先輩だけど、いざこういう感じになると、おや?となる。
"おれなんてそんなじゃないっす。センパイみたいなできる人が啓蒙すべきっすよ。"
"いやぁ。お前もこっちでいてくれよな。"
お。こっちとは。
"いまの学生のバイト。ほとんどクソだからさ。まじ、頼むわ。"
先輩の愚痴ですな。
学生のバイトといえば、ぶっちゃけ給料目的だし、最低限の仕事をいかに効率よくこなすかが議論されるわけです。そんななかで最年長のアルバイターは懸命に店舗貢献をしようとしているわけだ。珍しいタイプだ。面白い。
そして、派閥。
実際の会社で派閥があるかは未経験だけども、仮にあるとしたらもっと露骨なんだろうか。その疑似体験みたいなものがアルバイトでできるなんて、なかなか面白いじゃないか。
私はそんな人情無しではないので、センパイのいうことには忠実でございまするが、根は他の給料目的の輩と同じなので。期待をされても困るわけです。
しばらくは新人っていう名のもの、距離をおいてぼーっとしようと思う。派閥とかめんどくさいし、そもそもバイトだし。
ほどほどに一生懸命やりまーす。ゆとり世代ですから。