〈269.わんわん〉
私はリーダー肌ではない。トップに立ったところで見本になるような人ではないし、責任感も薄い。前々から言っている通り、私は二番手が好きで、二番手ですらないかもしれない。それくらいのぬるま湯が好きだ。
所詮バイト先での話だが、以前コンビニ店員をやってて、同じく今もコンビニ店員なので比較的即戦力として新人扱いはしていただけない。最近はむしろ、僕より後に入ってきた人と一緒に入ったりする。だから、2人でまわす10畳20畳の領域を4,5時間は現場監督として店員をすることになる。
先輩と入る時は相変わらず腑抜けだが、後輩の前だとカッコつけなきゃならない。
だけとも指示を出したり、聞いてこられたりするのは悪くない気分だ。頼られるっていうのは嬉しいね。
なんで頼られると嬉しいのか。
一つは優越感かもしれない。こいつより私の方がスキルがあるわ!っていうのを感じられるんだから。
もう一つは、自分を承認されているのだろう。私のスキルを頼ってもらえる。それくらい私は実力がついた。そういうことで、承認をされて存在意義を確認できるのだろう。
でもこの程度で喜んでたら、やっぱり二番目なんだろうな。前にいる誰かがいて、その人の指示を遂行する、伝達する。中間管理職であり、かませ犬なのだ。実際、僕がやる現場監督というのも、店長とかその上のエリアマネージャーとかそういう偉い人からの言いつけを守っているだけなんだ。
トップを走るためには、誰かのため、というのがもっとマクロに見ることができる、自分のためじゃなくて、お客さんとか仲間とか。もっとこう、隣人愛に生きる人なんだろうな。
僕はまったく隣人愛に溢れてはないない。自己中だし、無責任だし。そうなるとやっぱり二番手があっているのだろう。
ご主人の命令ならば、腹すら差し出す犬のように。🐶