ここのところ、しょーもない嘘をたくさんつくようになった。例えば、先生にあってもいないのに、友人に"先生が怒ってたぞ"とか。最近言い過ぎて誰も信じてくれなくなったのでもはやそういう芸として確立した。なんというか見え透いた嘘、つまりジョーダンっていうのは悪くないね。誰の気にも止まらないし、たぶん誰の記憶にも残ってない。けど、その時の空気は嘘の重さと同じく軽くなる。
今後も見え透いた嘘はついていこう。
というのはどうでもいい話。
今日の嘘つき青年はちょっと楽しい冒険があった。
今日は前期も終盤ということで、院の研究科で前期総会みたいなご飯会いや、飲み会があった。教室のひとつをつかって、焼肉したりピザ食べたりとやんややんやと楽しかった。
"後期になったら渡航だね。頑張っていってらっしゃい!"
残念ながら課題が残っていた青年は一度自分の研究室に戻ることになった。
すると研究室には先輩が2人集まって、女子会を開いていた。
"ああ、おかえり。これよかったら食べて。"
ボーイは甘いお菓子をいただいた。
おや。これは邪魔しちゃいけないということで、廊下の端っこの人目につかないところで課題をすることにした。
時々廊下を近づいてくる足音が大きくなる。
"コツ…コツ…"
固い音から察するにハイヒールだ。研究室に遅くまで残るハイヒール。そんな人いただろうか?とにかくあんまり話したことはない人だろう。
ボーイは息を潜めてバレないようにする。悪いことしてるわけじゃないのに。
"コツ…..…コツ….......……"
足音が聞こえなくなったことを確認すると息をブハっと吐いて勉強を再開させる。
2時間後くらいだろうか。課題が終わって飲み会会場に戻ると、顔が赤かったり、声がでかくなっている人たちで楽しそうにしていた。
青年は洗い物をしはじめると、いつもはあまり話さない先輩が顔を若干赤くして絡んできた。
"今日は発表おもしろかったね!うん〜。良かった!"
青年は晩の院生の様々な姿を見ることができた。いつもは静まり返った院生室も今日はいい臭いと楽しそうな声で賑わっていた。
それをどのグループにも結果的には属することがなく、全体を遠くから眺めているような、まるで画面越しに大学院生活を送っているような、不思議なイベントデーだった。
これは嘘じゃないのよ。
私という人間は、今日みたいな遠くから見る感覚っていうのはすごく大事にしたいとか思うようです。