大発見の記憶がある。
小学2か3年生だったと思う。給食当番の日になると一目散に配膳室とかいう部屋に飛んで行った。そこに大食缶とか小さいやつとか取りに行って、なるべく早く配るようにしていた。お腹がすいていたのはもちろん、早く給食を食べればドッジボールをする時間が長くできるからだ。
しかし、私は頭が悪かった。味噌汁の汁だけやたら食器に注ぎ、具だけが残されていく。豚汁の日なんかは豚が入らず、汁だけ配っていた有様だ。
そんな時に誰だったか忘れたが、とんでもなく素晴らしいアイデアを教えてくれた。それを聞いたときは、もう、雷にでも打たれたかの衝撃だった。
"具を入れたいときは、食缶の側面にオタマを当てて、斜めにしてあげれば汁だけ落ちて、具はオタマに残るよ"
いやあ!なんとも賢いじゃないの!
必死に食缶の中でオタマをプルプルさせて、汁を出そうと努力していた私は声が出なかった。文明開化だ。
この文明開化的な感覚。とても気持ちがいいもんだ。狭い視野に囚われていたところを、一気に押し広げられるんだから。
20代にもなると、さすがにこの雷に打たれることは少なくなってくる。それでも、たぶん、30代40代よりも刺激は多いんだろうなとも思う。経験不足なんだから。
どうやったら文明開化感覚を得ることができるんだろう。
そりゃあ考えるまでもなく、既知の範囲を超えることが文明開化なんだから、日常を打破することだろうな。手っ取り早いのは行ったことのないジャンルの店に入る、知らない人と仲良くしてみる。そんなところだろうよ。
もちろん、既知の範囲内で文明開化できれば一番の驚きであり、成長なんだろうけども。難しいよなぁ。
かくいう私ですが、今日文明開化しまして。
髪の毛を切るとき、貧乏性な私は1000円カットのお世話になっていたわけですが、さすがにそろそろまともな髪型にしてみたいと思ったわけです。
いわゆる安い床屋だけども、ワックスつけてみたいんですよねぇってさりげなく言ってみたら、ノリのいい兄ちゃんはイメチェンしちゃう⁈なんて言っちゃうんだから面白い。
お陰で俺様は前人未到の超イケメンになってしまったよ…。ごめんな、イケテナイ組のみんな。俺は卒業しちまったよ…。