〈328.悪魔の囁き〉

一週間ぶりくらいに一人暮らしの部屋に戻ってきた。

"いつも"と違って話しかけてくる人もいなければ視界の中で動く人影もない。じっくりとマイペースに考えるにはやっぱり一人の方が気が楽かしらね。

気を使わなくてもなにも問題が起きない。口論もなければ頼まれごともない。すべてのことを自分のためだけに使うことが許される。

冷蔵庫に飲み物を戻さなくても、靴下をポイしたままでも。

気がつけばルーティンワークも忘れる。それでも不具合はない。あるのかもしれないけど誰にも迷惑はかけない。あとでちょろっと手間をかければいくらでも取り戻せるさぁ。

洗濯物も食器洗も部屋掃除も。あとでちょっと頑張ればいいだけさ。

あとっていつか、そんなことは今は考えないのさ。だって今は辛くないもの。

あぁ、そういえば払い込みがまだだったかな。申込書の提出もまだだ。メールも送らなきゃいけないし、大家さんに報告しなきゃいけないこともあったな。

でもまあいいや。いまはまだ大丈夫だろ。

。。。

今だけを考えて、自分のことだけを考える末路はこうなってしまうと思うのです。

自分のことを考えるのも大事だし、今をしっかり生きないと地に足つかないけども、ある程度周りもみて、未来も見据えたほうが生活が豊かになるね。

自律しないとあかんわ！ではなく、したほうが楽になれそうだな、程度の方がメンタルも楽なんだけどもね。バランス感覚。