ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

MENU

〈336.城跡の月〉

この一週間、インターンシップをしていた。その仕事もいままでの人生ではまったくなかった新しいことだったのですごく面白かった。そして久しぶりに体にいい生活を送ったら疲れた。でもまあいい五日間だった。

 

そのインターンのために京都を離れて、とある田舎町にいるわけなんだけども、やっぱり田舎の夜にすることといえば散歩なわけです。ずっとしたかったけど、寝坊するわけにもいかないので我慢してた。だって近くに城跡があるのよ。

 

でも、現在に残る城跡なんて、どうせ石がちょっと残ってたり、門が一つあるだけだったり、場合によっちゃあ看板があるだけかもしらん。あんまり期待せずふらふらしたわけです。

すると、遠くの住宅地の中に木がこんもりと生い茂るところがあるじゃあないか。近づくとやっぱりそこが城跡だった。石垣がしっかり残っていて、城の壁はないけどもちょっと整備された公園になっていた。遊具とかそういうのはなく、ただ階段と、石垣と、雑草と、木と。

なんかいいところを見つけてしまったよ。

 

すぐにホテルに戻って寝ようと思ってたのに、ぼんやりとしていたら短い針が一周してしまった。

 

 

今いるお城にはきっとちょんまげの人が偉そうに座っていたんだろうなあ。いまはもうその後もなく、虫たちが鳴き、生い茂った雑草に包まれた石垣があるだけだなあ。そしてそこから見える街明かり。時間の変化と人間の進歩ってよくわかんないよ。

 

そんな凄まじい時間の変化と取るに足らない小さい人間を考えると、やっぱり僕自身の意義を考えてしまう。

 

静かで、心地よい風がふき、時折木の葉から落ちる雨音が聞こえる。そのなかに見え隠れする暗闇の緊張感。

未知との遭遇の期待と不安、そして安心感。

 

"人間社会の発展のために〜"

インターンの最後の課題で今後の活動について書かされた。そこで特に考えもなくこの言葉を僕は選択した。

はたして人間が発展してなんの意味があるのか。何年後かは知らんけども、きっといつかは終わる文明の一つに過ぎないんだろう。所詮か弱い地球生命体だろうから。

 

そうだ。そうなんだよ。

どうせ一人の命でどうこうできるほど世界は単純じゃあないんだ。ましてやこの凡人にできることなんてたかが知れてるさ。

それならどうせなら欲望に流されてもいいんじゃないかしら。なりたい自分とかはわからないけども、やりたいことはあるじゃない。

 

エンドロールで流れる名前の中にこそっと僕も混ざってみたいじゃないの。

世間離れしたことを考えても、結局俗世間を離れることはできないじゃない。これだからいつになっても凡人なんだぞ。

 

仕方ないじゃない。

人間だもん。