9月12日。一週間が経過。
一週間が経つと腹を壊し始めると先輩がおっしゃっていたが、本当にその通りになった。動けないとかそういうレベルではないのだが、まあ環境が変わる時はそういうもんなんだろうな。諦めて、日本でもらっていた薬をちょっと飲んで安定している。
はやいもんだ。宿について、おそるおそる街を歩いて、大学の先生に会いに行って、何回か授業を受けて。来た時と大して変わらない言語能力だが、少しは進歩しているだろうか。
そりゃあ、なんでこんな苦労をしてるんだろうって考えるわけです。日本にいればなにも不安なく飯にありつけるし、毎日特に億劫なこともない。それを3ヶ月間放置して、わざわざ来る意味はあるのだろうか。
そもそも大学院進学の理由はぼんやりだけど、もっと知らない世界を知りたいってことだった。それはまあクリアしたろうな。イスラームの国で、西アフリカで、多言語社会で。知らないことばかりだ。
良い経験をさせてもらってるよ。
マグカップに銀のスプーンがあたる音。液体を混ぜる音。
ああ。日本にいれば一言も発さずにコンビニでパックを買って、電子ケトルで美味しい紅茶を作れるのにな。
まあ。若干日本いいなと思い始めるわけだけども、明日の飯のことを考えていると、そんなことよりウォロフ語だ、フランス語だ、と振り返る余裕がないのが現実なんだな。
フランスパンをブティックって呼ばれる露店みたいなちっこいコンビニみたいな、そこで買おうとした。通じなかったけど、丸っこいパンが出てきた。うまかった。嬉しかった。
でも何を言ってたのかわかんなかった。
1.5ℓの水をまとめ買いした。歩いて帰れる距離じゃないからタクシーに乗った。乗る前の賃金交渉をした。できた。窓からの風が涼しかった。嬉しかった。
でも何を言ってたのかわかんなかった。
なんのためにセネガルに来たのかと言えば、研究のためであり、論文のためだ。
だけども、いまはそれより、言葉が使えない悔しさに打ち勝つことが第一だ。
これが闘いであり、第1の関門なのだ。
明日はフランスパンを買うぞ。