「何年も前のことを覚えてるんだからただの一日ではないだろー。」
そう言われた。
僕がクリスマスのことをやたら覚えているからだ。
そりゃそうだ!
男子高校卒業したら彼女なんてホイホイできると思ってたからナァ!まさか一人で過ごすクリスマスがこんなに虚しいなんて思ってなかったサァ!
それで男友達とムキになって8000円のディナーなんて食べた日には悔しくて虚しくて忘れるわけなかろうよ!
童貞という言葉を思い知った日だったネ!そうきたら毎年考えるだろうよ!今年も童貞でしたな。とね!
。
「童貞」という言葉が孕む差別的なジョークを僕は非常に愛している。ウブだとか、無知だとか、ダサいとか、ピュアだとか、チキンだとか。そういう垢抜けてない、垢だらけな存在が好きだ。可能性の塊だかんな。
どう‐てい【童貞】
1 まだ異性と肉体関係をもったことがないこと。また、その人。ふつう男性にいう。
2 カトリック教の尼僧。
デジタル大辞泉より。
正確には肉体関係を持ったことのないチェリーボーイのことだそうな。知ってるけどもね。
それを元にして、女性に声をかけられないようなキチンリトルだと揶揄することにもなる。
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だが。チキンリトルであることがそれほど悪いことなのか、僕にはわからない。
確かにチキンリトルであるってことは、自分に自信がない。
しかし、そのおかげでおごった態度はとらないぞ。それに他人の弱さもわかる。優しくなれるぞ。強気に出たところでモテることもないことを知ってるからな!
あと単純に、無知だしウブだしピュアなんだ。基本下手に出ますぜ。こんなマウント取りやすい、一緒にいて気分良くなるやつはいないですぜ。
だから今でもメンタル童貞でもよろしいかと思うんでさぁ!
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そういやちょっと前、たぶん大学院入ってからだ。
「え!十文字のこと童貞だと思ってた!」
そう言われた。
言った人はたぶん男だったと思うから、深い意味は無いと思う。
…。
あ?!だからどうした!
おん?俺が童貞だったらどうなんだヨ!お?言ってみろよ!