共同企画【交換小説】転 もんじゃ編
この後、どうしていいのかもわからないまま線路のヤンキーをホームに引っ張り上げ、駅員にはタンを吐いておいた。
。
「おいおいタンを吐かれたぐらいでびびりすぎダロ駅員さんヨォ!そんなにのたうちまわんなや!はやく登れやボケカス!」
「聞こえちゃいねぇな!蛇に睨まれたカエルみたいに縮み上がってやがるぜ!大人っつってもこんなもんだな!歳だけくったガキみてぇだぜ!あーあ、面白れぇなワルってのも!」
「…姐さん?さすがにあの駅員、なんかおかしくねぇですかい?」
「あぁん?ただの玉なしやろうってだけだろ。」
「ちげぇんですよ!なにかこう、登ろうともしないっつーか…」
「んだよ!はっきり言えこのウスノロがよぉ!」
「ッ!死ぬんだよォォ!さっき電車のベルがなっただろォ!電車来るのになんで逃げねぇんだアアア!」
ぷわーん。
「う、うあぁ…。ね、姐さん…。こいつぁ…。」
「…。」
「ね、姐さん!」
。
「君がドクターが言っていたサイコって子で間違いないかな?」
「たぶんそうなんじゃないかしら?ふぅん。死体を作ってもそんな目をしているなんて、やっぱりドクターの娘って感じネ。」
「な、なんだテメェら!姐さんに軽々しく声かけんじゃねぇ!」
「あら、舎弟なんてつくってるんだ?そんな話なかったけどね?ドクターも知らないことかしら。…ぼく?ここから先は関わらない方がいいわよ?」
「中途半端な奴は一番初めに死ぬことになる。君はまだそれもわかっていない。帰ることをオススメするよ。」
「う、うるせぇ!ここらじゃ俺を知らねぇヤツはいねえくらいのワルだ!お、おい!姐さん!こんな奴らに関わらないほうがいい!逃げよう!」
「うむ。逃げるのも大事だけど、我々に同行したほうが安全だがね?」
「お父さんのところに一回戻ることになってるのよ?さ、サイコちゃん?行きましょ。僕は警察に捕まらないように頑張ってね。ま、証拠は残らないわよ。大丈夫。だれもいないんだから。」
。
「ドクター、娘さん連れてきたよ。」
「ありがとう。おかえり、サイコ。」
「…。」
「突然の話で分からないって感じかな。それもそうだね。そのビジネスマン風の奴とお洒落そうに見える女は私の同僚だ。怖がらなくていい。まあ、最も怖がっているようには見えないが。」
「お洒落そうってなによ。お洒落なの。サイコちゃんよろしくね。私はユキ。この男は…」
「金子です。よろしく。」
「そんなところだ。次に私たちの仕事だけど、サイコ、おまえの頭ならもうわかっているだろう?」
「…殺し。」
「。そんなためらいなく言われるとここまでの18年は筒抜けだったと思ってしまうな。
まあそこらへんの話はご飯を食べながらにしようか。
そう、サイコが言う通りだ。しかし、無差別じゃあない。闇に葬ったと思い込んでいる愚者達に裁きを与えているだけだ。見方を変えれば正義のヒーローってところかな?」
「今日サイコちゃんがやったおじさんも、表向きただの駅員だけどね。だれでも裏の顔はあるのよ。」
「我々も人のことは言えんね。さて、私は会社に行かなくちゃいけない。あとは頼むよ。」
「おっと、もうそんな時間か。それじゃあ私も歯科医の仕事に戻ろう。ユキ、ここまでちゃんと予定通りだからね。ここからも頼むよ。」
「ここからはいつも私の仕事ね。まったく。じゃあサイコちゃん。いきましょ。どこって言う質問はなしね?言われる通りしてくれればなにも悪いことは起きないわ。」
。
「じゃあこの車に乗ってもらうわけだけど。
…ねえ?ぼくはどうするの?カズヤスくん?」
「…ッ!」
「ここまでついてきたのはなかなかの勇気だと思うけど。蛮勇かもしれないわよ?帰るなら今しかないわ。」
「うるせぇ!俺は姐さんについていくことを決めてんだ!てめぇこそなにもんだか知らねぇけどよ、俺を舐めない方がいいぜ。」
「そ。じゃあ乗りなさい。11時40分に着かなきゃいけないんだから。」
「…そう決まってるんだ。」