〈530.3月11日〉
今日。この日をどう解釈したらいいのかずっと分からずにいる。
9年前、傍観者だった。何かしなきゃ、みたいな感情もなかった。ただ津波の映像を見て、これは現実なのか、本当に傍観しているだけだった。
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そのあとニュースとか雑誌とか、いろんなところで誰々がどういうボランティアをしている、っていう話を聞いた。
そういうのをしなきゃいけないのか。でもまだ学生だからなぁ、お金ないからなぁ。そうやって傍観者であることを正解としてきた。
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院生になって観光の研究をしていると、やはり気になってくる。特に研究がダークツーリズムということで、暗い歴史を持っている場所の観光になる。原爆ドームとかアウシュビッツみたいな人間の歴史について扱う観光もあれば、震災や火事などの自然の脅威を扱うところもある。
となると東日本大震災はどうなるんだろう。
過去の遺産でなくって、いまをいきるまちの話になる。ダークツーリズムって一括りにしていいんだろうか。
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論文をみていると別のキーワードを知った。
復興ツーリズム。観光による集客を通して復興しようと。そのためには、ダークツーリズムみたいな苦しい過去だけじゃなくて、どれだけ楽しい場所か、経験ができる場所か。そこも大切になるとか。
そうか。10年を迎えようとするいま、過去を学びつつも、それだけじゃない姿を見ることも大切なのか。
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8年前、僕らの部活に転校生がやってきた。
東北からやってきたらしい。
結局なにもできないまま、3ヶ月後にテニス部に来なくなった。
僕はなにができたのか。なにをしたらよかったのか。なにをしないほうがよかったのか。申し訳なさがいまだに残る。
いまからでも傍観者ができることがあるのかもしれない。
なにかしよう。これからのぼくは。か。