ホウチガブログ

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〈534.ジョーカーたち〉

 

映画『ジョーカー』すげぇ映画を観た。 - ホウチガブログ

 

先日、映画「ジョーカー」をみた。

見てからだいちの感想を読み直した。

 

"もしどこかで救いの手がポンッと差し伸べられると、彼はジョーカーにはならなかったと思う。

不運に不運が、また不運が重なり、あるきっかけで背中をドカッと蹴られて奈落の底まで落ちていく。"

"確率がかなり低くても雷に打たれる人がいるように、自分ももしかしたらこうなるかもしれないと(略)"

 

なるほど。その感情、あるな。

 

 

このまえ破壊衝動に駆られたことがある。駆られただけで具体的な行動はなに一つ起こしていない。思っているだけならないのと同じ。だべな?

 

自分が嫌いになったとき、嫌いになりそうなとき。僕は散歩に行く。決まって夜になる。

だれにも理解されなくてもいい。でも部屋にいたらおかしくなりそうなの。そんなときに散歩する。

でもその日は違った。なにか目的があって、目的地があって散歩に出かけた。

 

目的地は墓場。夜の墓場なんて行くもんじゃないと思う。でも静かで、人目がなくて、死ぬとか生きるとか、そういうのを見つめられる気がして好きなんだ。

でもその日の気分は違った。高揚感があった。破壊衝動に駆られていた。でも思っているだけだからないのと同じでしょ?

 

 

その墓場は不思議なつくりになっている。平面じゃない。階段の左右に広がっている。何百も。階段一段上がるごとに闇が深くなる。気がした。

 

ふと、階段の上の方に目をやる。

その暗黒を表現する術を知らない。

足が踏み出すのを躊躇した。

その瞬間、誰かが下の方で歩く音が聞こえた。お堂から出てきたお坊さんだった。

 

冷静を装って、必死に階段を降りる。すべてが怖くなった。ようやく怖くなった。

 

 

もしあの時、階段を登ってしまっていたらどうなったんだろう。

 

躊躇したのはよく覚えている。これ以上ここにいちゃだめだ。

なぜって。僕にはまだ家族も友も、大切な人もいてくれる。僕をこちらにつなぎとめてくれる。くさびだか、かすがいだか、くびきだかわからないけど。止めてくれる人がいる。

 

まだ引き止めてくれるひとたちがいる。そのひとたちがジョーカーになることを止めてくれる。

もしそんな彼彼女がいなくなったら。

僕はジョーカーになることを恐れなくなってしまうかもしれない。

 

僕だけじゃない。

世界にはたくさんのジョーカーたちがいて、その人たちすべてが大切な何かを守っている。

大切ななにかを見失ったら。きっとたぶん。

 

 

ジョーカーが生まれるのは、映画の中だけじゃないのかもしれない。

 

そういう、ジョークで締めさせてもらいます。