〈594.ぼくんち〉
そんなに新しくないアパート。
トイレに入ってたり、風呂に入ってたりすると、どういうわけか歌が聞こえてくる。
男の人の声だった。ぼくよりずっと高い声。綺麗に楽しそうに歌っていた。
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そんなに新しくないアパート。
窓を開けていると、どういうわけか音楽が聞こえてくる。
昔懐かしいゲーム音楽だった。ぼくよりずっと年上のゲーム。かっこよくて、わくわくする音楽だった。
。
そんなに新しくないアパート。
扉を閉めていても、同じ階の人の声が聞こえてくる。
隣の部屋の男の人に助けを求めていた。女の人の声。慌てていて、それを隠そうと笑い声が聞こえてきた。人ごとだからかしら、楽しくなってきた。
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なんだか大変な日だったけど、きっと来年には忘れちゃうようななんでもない日だった。
ぼくは外からみているだけなのに、同じ建物に人がいるのを思うだけでなんだか悪くない気がする。
。
そんなに新しくないアパート。
夜中の2時に上の階から楽しそうな声が聞こえてくる。
日本語じゃないし、聴き慣れない言語。それでもおんなじ建物に住んでりゃなんだかおんなじグループの人のような気がしてくる。
顔も見たこともない隣人。
でもほんとにそこにいる。
そこにいる?
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戦闘力36日目
282(+15)
勉強+7
練習+3
その他+5
たいへんだったけど、がんばった。
悔しいな。悲しいな。予定だったらいまごろこんな惨めな思いをしてないはずなのに。
どんどん遠ざかっていく気がする。
努力の方向性を変えることにします。