7月30日。
気がつくと僕は寿司屋のアルバイトをしていた。なるほど、そういうことならいいだろう。まだ開店してすぐだったらしい、客がちらほらとしかいない。いそいで注文を取りにまわった。
寿司屋でバイトはしたことない。この店ではどうやら客席に行って直接オーダーを聞くシステムらしい。慣れたように、厨房に向かってマグロとエンガワいっちょお!と元気よく言っていた。寿司屋の厨房ってなんだろうな。客前でやるから意味がありそうなのに。
そうこうしていたら、知っている客が来た。
女と男の二人組だ。女は僕が好きなゲームのキャラクター。男は亡くなった親友。
どういうわけか、このゲームのキャラクターとすでに亡くなっているはずの二人組が客に来たことを理解できた。
それでも、なぜ死んだ親友が来たのかを僕は疑わざるを得ない。二人を席に通した後、僕は親友に言った。
「おまえは誰だ。」
つまり、死んだはずなのになんで君はここにいるんだ。そういう意味で言ったんだと思う。
彼はニコニコしているだけだった。間が悪そうに女が咳払いをして、ちょっと注文してもいいかしら?なんて言ってくる。
ああ、そういうことなのか。なにを理解したのかはわからないけど、理解したことにした。
そうすると、なんだか僕は心の底から嬉しくなった。さっきまで半分は疑わなくちゃならないという義務感が覆っていたけど、それがすっかりなくなった。アルバイターじゃなければ、よろこんで彼に抱きついただろう。
。
長距離走を走っている人にしか、その時その時の苦しさはわからない。なんでおまえこんな大事なところでスピード落としてんだよ、なんて思っても実際に走ってみるとまったくもってスピードが上がらない。不思議なくらいに。
どんなに寄り添おうとしても、自分ではない人間の事柄はなにもわからない。かけた時間も脳に占める割合も。それをまわりから言葉にしてかけられても意味がない。むしろ逆効果なことも珍しくない。
それなら、無言で物理的に寄り添うことしかできない。
本当はもっと色々伝えたい。こっちの思うことを色々ぶつけたい。でも、そんなことして気持ちがいいのは自分だけだし、なによりそんな気持ち良さはホントに気持ち良くはない。
だまってそうかとうなずき寄り添うことが唯一僕らにできることなんだろう。
。
なんでこのタイミングで君は夢に出てきたのだろう。忘れないで欲しかったのか。いや、僕が思い出すタイミングになってただけなのか。
ちょうど墓参りをしたいと思ってた時期だ。群馬に帰るのはまだ先になりそうだけど、必ず行こう。
君には言いたいことがたくさんある。どんなにあることだろう。でも二度と届くわけない。仕方ない。僕が寄り添っている、と思う行動を取ることで、君に伝えることにしよう。
。
戦闘力112日目
832(+9)
勉強+3
運動+3
その他+3
不思議といい気分だ。
君のためにやれることが近づいてきているような感覚があるからかもしれない。
まだ10年20年先だと思うけども。大きな一歩は踏み出せただろう。