〈683.ノスタルジーでドラマティック〉
8月11日。
部屋の掃除をしていると、奥の底に仕舞い込んでしまっていたヤツが現れた。キーボード。それと楽譜。
小学6年間でピアノを習っておりまして、テニスかピアノかの末にテニスを取り辞めてしまいました。とはいえ当時ピアノを習っていてよかったなあと思うことは多くあります。センスは育まれなかったみたいだけど。
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最後に弾いた曲は、ショパンのノクターンでした。コンクールに出るくらいにはちゃんと習ってたのよ?
ノクターンの和訳は夜想曲。夜を想うような、ゆったりとどこか寂しい。それでいてドラマティックで不思議な曲です。それまで「山の魔王の宮殿にて」みたいな、ガッチャガッチャと力任せに弾いていたので、最後の一曲だけしっとりしてまして、それもあってよく覚えています。
最後に弾いたのは、習っていた河合音楽教室の発表会。コンクールと違って審査されないので、自由で好きなように弾いていい。最後の一音を弾いた時、これで終わりなんかぁと目頭が熱くなったのを覚えています。
いまでも時々、あのスポットライトを浴びる感覚が蘇ってきては、なんだかもう一度、なんて思うこともありやす。いい思い出でした。
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そんな思い出と一緒に出てきた楽譜の隣に、姉貴が弾いていた楽譜もありました。『幻想曲さくらさくら』。中学校で習う曲の「さくらさくら」をアレンジされた曲で、これまたとても素晴らしい。幻想的。ちょうど好きな画家の東山魁夷の『花明り』『宵桜』なんかを思わせる。
ぜひYouTubeで。
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テニス一筋になってからはまったく鍵盤に触れなくなった。おかげでいまは一曲も弾けない。
それでも、クラシックに唯一触れた経験は忘れがたい。0と1は大違いだ。習わせてくれた親には感謝せねばならない。
しかしまあ、音だけなのに心を揺るがすのはとんでもねぇや。映像もなければ写真すらない。音の流れとリズムの変化。それだけで光にも暗闇にもどこにでも誘うことができる。
チャンスがあれば、作曲の方法でも知ってみたいものだ。
キーボードと楽譜をいつでも触れるところに移動させた。たまには気晴らしに練習でもしてみようかと思う。今年度が終わるまでにはなにか一曲くらいね。
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戦闘力124日目
879(+5)
勉強+3
その他+2
『幻想曲さくらさくら』は本当に美しいと思う。ぜひ。