8月23日。
「アクティブラーニングは良いものとされる。しかし、歴史教育という点からはちょっと考えて欲しい事例がある。
あるAという場所で、サトウは5人殺めてしまった。サトウはその後警察に捕まり、無期懲役となった。その遺族の一人にインタビューをして、どれほどサトウが残忍な人間であるかを聞くことができた。そこで、二度とこのような事件が起きないように、サトウの行動を模造紙にまとめて発表することにした。
しかし、Aという場所ではタブーとされていたサトウ差別があった。サトウという名字の人間は、砂糖を連想させるため自分に甘い人間であるとされた。その結果、サトウ=怠惰という認識が広まり、差別の対象とされた。事件を起こしたサトウももちろん差別され、ひどいいじめも経験してきた。その結果、いじめ主犯の5人を殺めた。
アクティブラーニングの名の下に単純暗記を軽蔑することは、歴史の事実に蓋をすることに近い。史実を見分けることができず、新しい偏見を生み出しかねない。
だから、アクティブラーニングのもとに、事実の解釈のされ方を学ぶのが必要なことであり、それで事実を知った気になってはいけない。
意見を持つことは大事なことである一方、根拠をきちんと持っている必要がある。」
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なるほど。いいことを聞いた。
確かに2年前に教育実習をした時も、アクティブラーニングをしましょうと指導された。暗記よりも情報をまとめる力、意見をする力。確かに今後の情報が氾濫している世の中を上手に漕いでいくためには、嗅ぎ分ける嗅覚を鋭くした方がいいかもしれない。
だからと言って、事実を知る、覚えるというステップはすっ飛ばしてはいけないポイントなのかもしれない。
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たくさんの情報の中から選びとる。これはすごく危険を孕んでいる。完全な中立というのはなかなか難しく、どんな文献であれネット記事であれ、なにかに肩入れした文章になる。
そしてそれをまとめる力と言っても、自分の意見を通すために適切な情報だけを集めかねない。これに近い心理学用語がカラーバス効果というらしい。一つのことを意識し始めると、それに関する情報が集まってくるようになる、ということだ。
言い換えればアンテナを張るようになる、ということだと思う。
だからこそ、いま僕らがやっているような研究が存在する意義があり、そしてその大元は小中高での単純な暗記にある。暗記してきたものをもとに、新たに情報を仕入れ、そして新しい視点を構築する。
つまり研究こそハイレベルなアクティブラーニングなのだ。
研究のもとには、満遍なく情報を入れること、仕入れた情報を疑うこと。
つまり、アクティブラーニングの最大の価値は、仕入れた情報を疑い、新たに集め、そして意見を作る、というこの流れなのだろう。
ただ「積極的に参加する」というだけではない。その認識を持つことがアクティブが意味するところなんじゃないかしら。
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戦闘力136日目
966(+16)
運動+6
その他+10
学部の時のゼミの先生と話をした。そこで学んだことだ。しかし、この先生の考え方を疑うのもまた必要なのかもしれないね。