〈904.トレースすること〉
3月20日。
カラツェフはどうやらホントに強いらしい。この前の全豪オープンで本戦初出場で予選から勝ち上がってなんとベスト4に入った。そして今度はグランドスラムより2ランク下の大会、とはいえ世界一位も出場するくらいレベルの高い大会で優勝した。
それまでランキングはまったく上がってこなかった27歳が覚醒したようだ。
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選手の覚醒ってなんで起きるんだろう。
錦織選手みたいに18歳くらいから強かったら突然覚醒するようなことがあんまりない。というか、小さい頃に覚醒しちゃってたんだろうな。
例えば日本の杉田選手なんかもプロツアーで優勝したのは29歳とかそれくらいだったと思う。これも覚醒だろう。
突然強くなるなんて漫画じゃないからできないはずなのに、カラツェフは特に覚醒したとしかいいようがない。これはいったいなんなんだ。
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全豪での準々決勝あたりで、カラツェフの試合を解説していた松岡修造さんが気になることを言っていた。
同じロシア若手のメドベージェフやルブレフが急成長して、そのタイミングであったATPカップという団体戦をうけて、俺もやってやろうって思ったんじゃないですかね。
確かそういう内容だった。たしかにそこのメンタル的な影響は大きいと思う。メドベージェフは世界二位になり、ルブレフは大きい規模の大会で何大会も連続優勝していた。そんな中で年上のカラツェフは活躍したいと思ったんじゃなかろうか。
テニスは特にメンタルが支配するスポーツである。ちょっと自信がないだけで露骨にポイントが取れなくなってくる。逆に思い込みで自信を持ったらいきなりオフェンシブなプレーになる。カラツェフの覚醒には間違いなくATPカップが影響したと思う。思い込みは結構劇薬だろう。
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自信と確信は全く違うもの。確信は根拠があるけど、自信に根拠はなくてもよい。自分を信じればよいだけなのだ。だがこれが難しい。思い込むときには明確なモデルが必要だと思う。
それが身近であればそれをトレースすればいい。そしてそれがいつのまにか自信になる。
ここ1番って時は、上手い人すごい人になりきるっていうのはとてもいい方法なんだろうなと思った。
カラツェフは自信が確信に変わったタイプだろう。しばらくはまた強くあり続けるんだろうな。