5月9日。
これまでテニスをしていていろんな人に教わってきた。結局人と人の相性によるところが大きいとは思うけど、それでも教えるの上手いと思う人の共通点がひとつある。
3秒以内で伝える能力が高い人だ。
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テニスだと2種類の教え方がある。座学的な教え方と実践しながらの教え方。
合宿とかでない限り、基本的に座学の教え方は意味がない。というのもテニスコートの上では集中力は基本的に自分か相手のコートに向いているから。話を聞いているモードには基本的になってない。返事をしていても全て空返事であることが多い。
だからこそ実践しながらの教え方が重要になる。ボールを打ってそれに対して今のはどうだったからこうやって打つようにしなさい。ということ。
これが冗長になると全く聞かない。そもそもテニスコートの上で人の話を聞くのは難しい。プレイヤー目線でいえば、自分の感覚を研ぎ澄ますためにも一球でも多く集中力を上げて打ちたいんだもの。
つまり、3秒以内で問題点と解決策あるいは解決したらどんなメリットがあるかを伝える必要があるのだ。
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それがどんなアドバイスか。
とにかく伝えることを絞ることだ。ひとつのミスショットを見たときに上手い人ほどいろんなダメポイントが見つけられる。しかしそれをプレイヤー目線で最優先のポイントに絞ってひとつだけ伝える。
しかもそのポイントは1時間の練習メニューであればずっとそれだけに絞る方がいい。仕事をはじめた新入社員の教育もそうだと思うけど、一つずつきちんとクリアすることが成長の近道だし、情報が多くなると整理できなくなってメンタルがやられる。
だからこそ3秒以内の一言アドバイスがコーチには1番必要だと思う。
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しかしこの一言に絞るのはとんでもなく勇気がいる。というのも仮にダメポイントが4つあったとしてそれについて4つの解決策があるわけじゃない。
大抵その4つを構成するのは1つ2つの根本的なダメポイントがあることだ。表出すると問題は4つあるように見えるけど、元はと言えば一つが二つ程度の問題である。
つまり、それをすばやく見極めて自信を持って指摘する能力がコーチには必要だ。それもそうだけどたぶんこれもこうしたほうがよくて、それもそうだしこっちもそうだし、みたいに全て解決しようとすると冗長で的を射るコメントにならない。
すると生徒は全く聞いてくれないし、むしろ信頼関係がマイナスになる。
だからこそ人を導くときには完全な正解よりも溢れる自信で指し示す方が良かったりするのだろう。
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地元のおじさんコーチがちょうどその2種類がいた。一人はプレイヤーとして良くてもコーチとしては的を射るコメントができないタイプ、一人はプレイヤーとしてはあんまりだけどコーチとして人を導くのに長けていた。
プレイヤーと監督は全く違う仕事というのはこういうことがあるのだろう。自信を得るためにも結果を出す必要はある程度必要だけど、哲学がきちっとしていれば監督としてバッチリなんだろな。