ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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〈1074.怖いという興味〉

9月5日。

 

上野国立科学博物館で、現在植物展を開催している。
そのポスターを見てほしい。「地球を支える仲間たち」という副題の下にラフレシアと食虫植物がいる。そして一番大きな文字で「こわい?」と書かれている。

このポスターを見て、僕はなにかこわい植物の生態の展示があるのだろうかとわくわくした。みなさんはどうだろう。
このポスター、とても面白い分析材料になると思う。これは僕が研究していた「奴隷の遺産の観光」ともちょっと繋がりがあるように思える。

 

 

僕が研究していた奴隷の遺産というのは、セネガルのゴレ島という観光地である。その島はかつて奴隷貿易の商品である奴隷を押し込めていた収容施設が現存している。
僕はその観光地に訪れて、なぜ観光地として成立しているのか、みたいな研究をした。

 

その研究を進める上で、隣の研究室の先生からコメントをいただいたことがある。
「根拠は乏しい研究だけど、人間は恐怖への欲望があるっていう先行研究があるみたい。例えばYoutubeの再生回数が多い動画のサムネイルはわざと怖いものだったり死を感じさせるものだったりするみたいな。」


結局その論文は見つけられなかったので読んでいない。あったとしても、たぶん死への欲望などフロイトの議論になると思われる。

そこに関してあまり詳しくはないので足を突っ込まないようにして、そういうのはだれしも理解できるところがあるだろう。


お化け屋敷、心霊スポット、心霊番組などなど。好き好んで死体をみることはないだろうが、自分の身の安全が保証されている上での恐怖には興味があると思う。

 

僕の研究はそこにはあまり触れないようにして終わりにしたが、そういう欲望が人類にあっても不思議じゃないと思う。

そしてそういう共通の欲望を刺激しているのが、今回の植物展のポスターじゃないかと、僕もまんまと興味をそそられたわけである。

 

 

実際の展示がどうか、という点は今回はおいておくとして、アミューズメントやエンターテインメントにおける恐怖というのは、料理のスパイスのようなものと思われる。
それだけでも十分料理として成立するけども、好き嫌いが分かれてしまう。しかし、甘いものでもわざと隠し味に入れたりすることで、全体としてまとまりが出てくる。

 

恐怖というのもそういうものだと思う。
もちろんその前提として、自分の身は侵されないという条件が必須である。これは毒と辛みの違いと同じだ。害はないという前提が食事には必要である。

 

つまり、他人の不幸は蜜の味、といったところか。
そこらへんの科学的照明もなされているんだと思う。人間って不思議ないきもんだ。