10月28日。
バスタなどの利用で新宿に降りることはあったけど、そんなに街の探索はしたことがなかった。大きい荷物を持っている時点で街中をプラプラする気もなかったし、一歩出ればわかるほどの人口密度である。どの道もすれ違いざまに肩がぶつかりそうなほどだ。
人生で初めてかもしれない、新宿の街を一時間ほど歩き回ることになった。あれはなんというか、カオスだな。物語の舞台になるのも理解できる。
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もともとは東南口に用事があったのだが、間違えて都庁がある出口に出てしまった。それはもう絵に描いたような「都会」であった。高いビルにきれいに整った道。ガラス張りが多いビルの1階の店店。コンクリートジャングルというのにふさわしいのだろう。東京に来たなあ感がすごい。
そこから10分ほど歩いてバスタなどがある駅前に戻ると、人と車がわさわさと群がっており、座り込んで無心する人やギターを構える人、マジックの準備をする若い人。いきなり年齢層が低くなる。スーツの人も黒というより目に悪いような青であったり、ちょんまげの人がいたりとかなり個性的になる。渋谷みたいな感じ。
そのあとようやく東南口に出て、新宿三丁目あたりに出る。さっきよりも一気に雰囲気が暗くなった気がする。店も小綺麗だったさっきまでに比べると何年も掃除してないような店ばかりである。スタバがあるとようやくホッとするような。何十年も前に使われていたような壊れた門が小路を守っていたり、ネパール、中国、インドなどの国旗が掲げられた店が連なっていたり。
フィリピンの首都マニラに1週間ほど滞在したけども、そこと同じような雰囲気だった。
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駅の出口を間違えるだけで、ガラス張りのきれいなビル群や、ストリートミュージシャンの会場、薄暗くちょっと怖い店につながる。なんともまあ不思議の国のアリスみたいな気分である。道一つ間違えるだけでまったく雰囲気も違うのは、無計画な発展の歴史をたどることができそうなもんだ。
面白いんだけども、怖い。
新宿の歴史を探ってみるとかなり面白いんだろうな。戦前、戦後での役割はもちろん、そこから経済発展期を迎えてその勢いに乗るもの、乗り遅れるもののたまり場。
一つの駅の周りでこんなに環境が変わるのは他になさそうなもんだ。
そういう本でも読んでみよう。