ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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〈1168.いつかの未来で〉

12月8日。

 

雨が降るとバイト先は暇になる。お客さんも来なければ、やれることも少なくなる。上からもやむまでは自由にしてて良しといわれることもある。
そんなこんなで暇な時間に、従業員同士の身の上話をすることもある。なんとなく、どんなことからこの職場に行きついたのか、ききたくなるのだ。

基本的には学校が近くだったからバイトしてるとか、専門学校のツテでここになったとか、聞いて楽しい話が出てこない。まあそんなもんだろう。
そんななかで一人、仕方なし今はいるけど、感染症がなければ外国に行っていたというやつがいた。
これはなかなかおもしろい。がっつりしゃべったのは初めてだ。色々聞いてみよう。

 

 

中学時代に引きこもりだったとか。その時にアニメにはまって、そこから声優や俳優を目指すことにしたそうな。
それで高校はそういう部活が強い学校に行き、その時に裏方仕事のほうが好きだということになったとか。
それで専門学校に進学。
順調にいけば裏方仕事の勉強をするために、演劇の留学兼仕事探しにイギリスに行く予定だったとか。専門学校では珍しく、英語もそこそこ話せるよう頑張ってきたんだって。

正社員になる道は選ばず、バイトを掛け持ちしていつかいける日のための貯金をしているとか。
なんとも例の病気の問題を直接にこうむってしまった世代だろう。

 

 

しかしそいつはなかなかに努力家であるようだ。3つのバイト合わせて25連勤とかいってた。そんなに働くのが好きでもないだろうに、夢のためだからとか。
こういう情熱的な話をきくのは久しぶりだ。20代も中盤になってしまった僕らの世代では、前よりも明らかに身の丈に合った将来を考える人が多く、僕自身その一人になりつつあったと気づかされた。

情熱というのは、文字の通り熱なのだ。熱を出すためにはかなりのカロリー消費がある。ストレスである。
年を取るとそういうところに割く体力がなくなってきて、そして現状維持でもある程度の満足感は得られることを学んでしまう。

こんなに楽しい気持ちになったのは2年ぶりくらいだ。
計画的でないからこそ、危険だけどもその分リターンがある。そういうのを体現するような奴だった。

 

 

こういう話をするのは職場だと僕が初めてだといっていた。
僕自身、かなり異色な経歴だと思うけど興味を持たれたことはない。みんなそれぞれに自分のことで忙しいのだろう。深く話をするのが苦手な人もいるだろう。
だからこそ、知ることができたからには応援しようと思う。そしてその人には応援してもらいたいと思う。

あと数カ月でぼくはバイトを辞めるけど、こういう話ができて良かった。
いつかの未来でまた交わることがあったら良いな。ぜひ仕事で。