〈1183.イベントの心得〉
12月23日。
明日はクリスマスイブである。
おそらく学生のみんなも冬休みに入ったころだろう。バイト先に私服の学生がわらわらとやってきた。
カップルもいるし、友達の集いもいる。おじさんおばさんのカップルは微笑ましく、その近くを歩く忙しない幼児と追いかける若パパママはそれもまた微笑ましい。
この時期はバイト先も忙しくなって、ため息をつく人も多いけれどそれは楽しんでいる人が増えていることでいいことじゃあないか。
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そう思える余裕があるのは、所詮僕が学生アルバイトという一時的な身分だからだろう。
これが社員だったり契約さんだったりするとそうとも言えないのかもしれない。
働くことが日常であり、職場で過ごす時間が1日の大半である。となると、それが接客だというのは「奴隷感」があって自分が嫌になるのかもしれない。
あくまで人のために自分の時間を使っているのだから。
それを楽しめる人はわずかだし、それで低賃金だとやりがい搾取ということで都合がいい奴となる。
結局時間は自分のために使いたいのが人間の性だろうさ。接客はなかなかの肉体労働なんだな。
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明日はもっと人が増えるだろう。
人目を憚ることなくいちゃいちゃする人も増えるだろうし、その分トラブルも起こる。
本人たちは本人たちの問題だからいいけども、それに付き合わされる働き手の方はたまったもんじゃない。
世間のクリスマスの雰囲気を楽しむことができず、むしろ提供する側。わくわくしたり、ほっとした人を横目に寒空の下で接客。
僕は楽しい経験だとして割り切っているが、それはやっぱりバイトだからだ。正社員としてこれはやっぱりやりたくないねぇ。
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どうかそういう視点を忘れてほしくないな。
イベントごとを楽しむのは良いことだ。楽しくなくちゃ、そもそもイベントとしては意味がないから。
だからといって、すべてが自分のためだと思い上がらないことだ。何万人といるお客さんの一人でしかないんだから。
お客さんはお客さんとして、提供者にマナーは守って接してほしい。そしてなにより、同じ人間としての敬意はあってほしい。
バイト先を出れば、誰だって同じ知らない赤の他人なんだもの。奴隷身分でもないし、貴族でもない。
人間としての尊厳のある振る舞いを忘れないでね。