「働く」ってなんだ~だいち編〜
〈はじまり〉
「働くっていうのは、いろんなことを大事にすること」
前回のハラミキへのインタビューではこういうことになると思う。
残すところあと2カ月満たないほど。短い学生生活を終え、社会人になるのは良いけども、いまいち心構えができてない。
身近な人にあれこれ聞いてみて、自分なりに納得のいく結論を得るために始めたこの企画。
ハラミキからは、「働く=○○」というのはないとのことだった。ただ働くことについて、素直になった時に楽しいことが見えてくる関門の一つだという解釈も提供してくれた。楽しく生きるための部品の一つだということだろう。
今回は、岡島やハラミキとは違った、不思議な就職を果たし、その末で悪戦苦闘を続ける男に話を聞く。「働くとはなにか」その答えに近づくことができるか。あるいは。
〈インタビュー開始〉
(開始直前に急遽仕事の連絡が入り、だいちは疲労困憊)
-お疲れ様。なかなか顔に生気がないけども大丈夫かい?
-仕事大変なんだね。
いやいや遅くなってごめん。
ちょっとね、年末年始が色々忙しいんだよね。
-それは仕方ない。なんの仕事だったっけ?
サイトをつくるエンジニアだね。
お客さんからの注文とかに寄り添いながら、サイトのデザインとか整えたり。
年度が替わったりする前に、いろいろ変えるための準備をしなくちゃいけないからね。
///仕事の苦労
-働き始めてどれくらい経った?
1年半だね。さすがに慣れた。
でも初めからリモートワークだったから、いわゆる新人の苦しみとは別の戦いがあった。
出社できたら、わかんないことがあれば先輩に聞ける。目で学べるし、会話があれば耳からも学べる。
最初はなかなか質問できないし、リモートでなおさらできなかった。
孤独だったのがきつかった。
-それは俺にも関わってくる話だな。
-今は不満はある?
全然あるね笑。でもどの世界でもあるだろうからね。
お客さんとの仕事だと、客も自分も、お互いわからないことのほうが多いからね。
向こうからしたら向こうの都合があって、こっちからしたらこっちの都合があって。
どこまで相手のことを考えられるのかっていう問題だよね。視野広く持ちたいね。笑。
-確かに専門的になるとそういう細かい気づかいとか忘れちゃいそう。
///エンジニアに対して
-今後もエンジニアは続けるのかな?
どうだろう。性格的には向いてないかなとか思うけど笑。
でも作るのは楽しいからね。
-つくるの楽しいって?お客さんのため?
いや。作ること自体が楽しいから、自分のためだな。
-そうなのね。仕事としてエンジニアを選んだきっかけは?
最初の客のみっきーだな。
身近な人っていうのもあったけど、彼のポートフォリオサイトを作った時に「いいじゃん!」って言ってくれて。それがうれしかった。
でも今の仕事ってお客さんの声はここまで届かないからな。
だから自分の中にモチベを見つけるようになったよね。
-そもそもなんでエンジニアになろうとしたんだっけ?
儲かると思ってたからだ!笑
AIとかの発達でなくなる仕事を考えてた時に、ITを使った産業は間違いなく伸びるなあと思って。
それに関わることはしといたほうがいいかなってことで選んだ。
-じゃあある程度長いスパンで考えてたりもする?
今は肩慣らしの時期だね。パソコンに慣れる時期。
仕事をしながら学んで、ゆくゆくは知識を活かしてアプリケーションとか、他の言語もっと学んで、AI開発とかにも広げられるかなと。
///やりたいこと。
-けっこう計画練ってるんだね。
-でも学部の時は海外志向だったじゃない?それはどうなった?
もちろんいまでも。
海外で働くときに考えなくちゃいけないのがビザ。国に受け入れてもらう人材として、エンジニアは強い。
ワーホリも考えたけど、ちゃんと仕事できる力つけて、そのあと海外かなって。
自分がやりたいことって、ある程度成し遂げた後からでもいいし、ゆっくり見つけていけばいいかなって。
-そもそもだいちの海外志向っていつから?
高校の時に見た海外ドラマ「Gree」の影響が大きいね。
それにあこがれて、生活してみたいなあって。
日本じゃありえないような、そういう環境に身を置いてみたい。
-日本じゃありえないって?
雰囲気。大雑把なところとかね。
許される基準が低いじゃない?きっちりしてなくて。すごい良いなって思うね。
日常の生活で摩擦を感じたりして。ストレスフリーな生活をしてみたいなって思ったり。
-そう考えると今の生活はストレスフルだね。
変えていかなきゃね。
///もし余裕ができたなら
-岡島とかハラミキにも聞いたんだけど。
-もし大金もらえたとしたら、仕事は続ける?
やりたいな。暇でしょ。ストレスない程度にするね。
仕事っていうけど勉強でもいいかも。
(その後もいろいろ案が出てくるも、これというのはない)
…うーん。
Vtuberでもしようかな。
音楽作ってみたいかも。ヒップホップにはまってて。
エンターテイメントの世界に行ってみたいかな。
-今はそっちに舵取りしない?
やっちゃおうかな。笑。
みっきーも音楽作りたいって言ってるでしょう?それに感化されて。
仕事の不満が大きいからかな。それから逃げたいのかも。
今の仕事が本当にやりたいわけではないからねえ。
でもなにかにつながっているとは思う。
その実感が得られてないけど。
///いつかのタイミングで。
-なるほどなあ。じゃあ夢は?
そりゃあ海外移住でしょ。
胸がざわつくよね。
映画とかで海外の風景見ると、行きてえってなるな。
胸がぎゅんってなる。
-どこいきたいの?
アメリカもそうだけど、オーストラリアとか、カナダもいいよね。
韓国もいいと思う。
アジア圏でも露店とかは適当で良いよね。
行くしかない。
-いつ行こうって計画あったり?
今の仕事始める前、コロナが流行するより前に飛行機のチケット買ってたんだけど。
それがなくなって。計画が変わっちゃったね。
でも20代後半には行きたいな。
いけたらそこでなにかしらの正解を見つけるかなって思うね。
-そのためのエンジニアだもんね。
そうなんだよね。仕事がチケットみたいなもんだからね。
そう考えると熱量ないけど、キーにはなるからね。
しょうがないかな。
結構エンジニアの人って、金が儲かるからって割り切ってる人多いと思うんだよな。
それにならって、ストレスフリーにできればいいかな。
///「まだ迷ってます」
-岡島にも聞いたことだけど。死んで良いタイミングってあったりする?
まだ死ねないよなぁ。
海外移住しても死ねないだろうな。やりたいことの一つだけど。
そこで感じたことを人生の糧にしたいだけだからね。
やりたいことやるだけだからな…。
ムズイ!
(色々案が出てくるけど、どれもしっくりは来ていない様子)
そうだねえ…。
自分の生きた証を残してみたいよね。
「ボヘミアンラプソディ」みたいにコンテンツできるくらいの人生歩んでみたいな。
俺がどういう人物かっていう。
本にしようかな。自伝作れるくらいの生き方したら死ねるかな。
「海賊と呼ばれた男」って話あるじゃない?
いくつになっても転々転々みたいな。
現状に満足せず、挑戦続けるみたいな。
章ごとに面白いことあればいいかな。
落ち着くところがあるわけではなく。
-けっこう行き当たりばったりでもいいなってかんじ?
なりたい自分ってなにかに投影されるじゃん?見てて、憧れる人物に。
それでいうと、俺は結構はちゃめちゃに生きてる人良いなって思う。
やりたいことを見つけて。それに向かっていくみたいな。
-じゃあ動き出さなきゃならんのかな笑。
そうだね。
どっかしらでなんかやんなきゃなって。自分にいらだちがあるんだろうな。
今がなりたい自分ではない。
インタビューのタイトルでいえば「まだ迷ってます」だよな。笑。
二人に比べて、いろいろ曖昧なんだよなあ。
固める必要もないかな…。いや必要だと思います。
…すっきりしてないけどね。すまんね笑。
-だいちらしくていいよ。すっきり出てくるとは期待してなかったし笑。
///最後に。
-岡島、ハラミキからももらってた、新社会人にエールをください。
一番は、質問どんどんしていいと思う。
今になってわかるのは、質問されてめんどくさいってのはない。
自分の勉強にもなるし。
もちろん自分で調べてからが良いけど。質問することを恐れるな。
腰を重くしてたらダメだよね!笑。
わからないことばかりだから。
-まったくもってその通りだ。
-また半年後とか、どうなってるか聞いてみたいな。
うれしい報告したいのよ。
自慢できるのがないな、今は。笑。
〈働くって〉
だいちはやっぱり足掻いていた。
コロナの影響もあって思い通り動けず、なかなか追い風が吹かずに苦しんでいるのだろう。
「それでも今の仕事が未来の自由のための鍵だからな」
働くってなんだ。
だいちの回答は「未来のためのチケット」だろう。
今が満足できてない。それはそれで苦しいけども、それも下積みでは必要だろうということだ。
そういう意味では、岡島と同じように「どこまでも自分のための仕事」であり、ハラミキのように「自分の想いに素直であり続けている」のがだいちだろう。
二人とは違って天職ではないからこそ、苦しいが。これから見つける「やりたいこと」のための伏線を今は張っているというところだろう。
〈NEXT〉
これで三人へのインタビューは終わり。
次は、三人からもらったヒントをもとに自分の考えを整理してみようと思う。
働くってなんだ。三人の考えをまとめてみたら、納得がいく気がしている。