5月4日。
就職してからひとつ、大きく変わったことがある。
テニスへの執着がほとんどなくなったことだ。
学生の間は、高校で引退したけれど未練タラタラで、試合で勝ちたいなあとか思っていた。
いまはもう試合は置いとこうかなと思いつつある。
不思議なくらいどうでもいい。
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これは、ひとつには新しい目標が見つかったということがあるだろう。
就職したことで、自分を評価する上長が現れた。キャリアを考えれば、夢目標に溢れている。
いまさら過去の栄光に縋り付く理由もないし、むしろ新しいステージが楽しくて仕方ない。
翻せば、大学や院での研究はやはりあってなかったようだ。帰属意識も会社員は得られる。個人研究には向かない性格だったようだ。
だからかつてのテニスの属性を死守していたのだろう。
別のモチベーションを見つけることができたということだ。
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単純に、職場とその先にあるキャリアが未知すぎる世界でそっちが楽しくて仕方ない。
ぜーんぶ初心者で、ぜーんぶ底辺のスタートである。知識もセンスもなんにもない、まるっきりのゼロである。
ところが、ここから40年かけて良いというのだ。年齢的な縛りはないし、むしろ歳を取れば熟成されたいいものができそうだ。
時間をかけてかけて、その先で目指す姿があっていい。継続と執着が強い自分には最高の舞台だと考えられる。
テニスは楽しいし、勝てば気持ちいいけれど、明確に目指す姿がなかった。それが趣味だということかもしれないが。
ただ、やっぱり目標が欲しいのだ。
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自分の努力が評価されて、そして報酬をもらえる。なんとも仕事は嬉しいものだ。
世界を目指すこともまだできる。テニスで叶えられなかった全国制覇だってできるかもしれない。
なにより、毎月ある程度生活に困らない金額が入ってくるのはなんともありがたい。
ある意味求めていた生活だろう。
想像していたことを創造に置き換えて、そしてそれでお金をもらう。
ところが恐ろしいのは研修が終わってからだ。
今みたいに考えることだけをやっていれば良いわけではない。人間関係の問題も出てくるだろうし、なによりビジネスの視点をもっと鍛えなくてはならない。
結局きちんとお客さんが喜ぶものを見抜かなきゃ、良いクリエイターではないんだからね。
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いまはまだ楽しいし目標もある。
それがタスクに追われて、何が楽しいのかわからなくなってくると、厳しい世界があるのだろう。
まだ新入社員なんだもの、楽しくていいじゃないか。いつかくる地獄のような生活のために備える期間ということでさ。
テニスラケットはしばらく握らなくてもいいかも。