9月18日。
ハサミを使うたびに思い出すことがある。
小学校の理科のテスト。ハサミの支点とか力点がどこかという話の延長。ものを切るときはハサミの根元か先端か、どちらの方が切りやすいかという問題。
答えは根元の方が切りやすい。てこの原理で考えましょうということだ。
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てこの原理は、力点は支点から遠い方が楽にものを動かせ、作用点は支点から近い方が楽に動かせる、とかそういう奴だったと思います。間違ってたらすみません。
僕はこれを逆に覚えました。つまり、支点の近くで力を込めて、切りたいものは先端で切るといいんだとテストで答えました。
当時秀才だった私は90点以下になることがほとんどなかったです。小学校のテストだし。ハサミのせいで、ひさしぶりに90点以下になりました。
そういうこともあるわなとスルーしようとしたところ、隣の席のやつがしっかり見ていたようで。
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「まあ、そういうこともあるよな。おれもそれ逆だと思ってたし。仕方ねぇよ。次だよな。」
隣の席の、学年一アホの一角の、でぶちんに慰められました。
そしてそいつはしっかり正解してました。そういや休み時間こいつずっとハサミいじってたもんな。
いっそのこと馬鹿にしてくれたほうが良かった。完全に格下だと舐めてたやつに慰められたときの気持ちってなんだろうね。
勝ち負けじゃない別のベクトルで、そのでぶちんはテストの点数と戦っていたからだろう。点数でも負けて、視野の広さでも負けたような、呆気に取られるというのが正しいのかわからないけど多分そんな感じだった。
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はさみを持って、なにかを切ろうとするたびに根元で切らんとあかんなと思い出す。
今となってはどうでもいいことだけど、今でも当時のクソみたいなプライドをはずかしく思う。
調子に乗るな、人を格付けするな、無駄なプライドを持つな。
そういう思考回路は切り落としなさい。
ハサミを見るたびに苦い思いをするのはなかなかめんどくさいもんだ。