〈545.ロマン〉
3月26日。
能登半島を南下し、金沢に戻る。
4日間の旅行はこれで終わりだ。
魚と牛乳をたくさん消費した日々だった。
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石川に行ったらぜひとも行くべき場所が増えた。
「コスモアイル羽咋」(はくい)。これはすごいぞ。
レプリカじゃなくて、まじもんの宇宙船がある。ガガーリンが乗ったやつ。なんでこんな辺鄙な田舎にあるのか謎なくらいすげぇやつがあった。
詳しいことはこれから調べようと思うけど、どうやら宇宙好きな人がひたすら走り回って駆け回って集めたやつをもとに発展したっぽい。
物好きが昂じてとんでもスポットになった感じだろうか。
この宇宙船以外にも、まじモンの月の石とか。衛星だとか。ホントすげぇから。
子供出来たら連れてきたい場所、モンジセレクション堂々の第3位ってところかしら。車じゃないと遠いのがややアレだけども、金沢市から海沿いを車で飛ばして小一時間だから悪くはないわね。
子供も楽しめるサンダー君の秘密集めやら問題プリントやら。手が混んでて2時間ずっとフラフラしてたよ。プラネタリウムも面白かった。
サンダー君ってなんやのん。
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ほんとに、なんでこんなところにこんなすげえのがぽつりとあるのかが謎すぎて逆に興奮がやばい。東京にあったら年間何万人は集まるだろうよ。
そこをあえて石川の田舎にあるのは逆に好き。掘り出しモンみっけた感じ。
ここも結局、だれかの熱意から始まったんだろうな。そんで大衆ウケじゃなくて好きな人が好きなようにって感じ。写真OKなのはまさにそうだと思う。
絶対また行く。行きたい。楽しい。好き。サンダー君は許さない。
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今回の石川旅行は行き当たりばったりでとんでもない発掘が多々あった。一二を争う素晴らしい旅行だった。こういう旅行があるからフラフラするのはやめらんなぁんだよな!
こうなるとやっぱり観光は研究しがいがあると思う。ふらっと見たもの、ぶらりと訪れたとこ。そこに何百何千の想いがぶつけられていまの形になっているんだろう。
泊まった老舗の旅館は明治から営んでいるそうな。きっと泊まった部屋には何千もの人が時間を過ごしたことだろう。そう思うとロマンがあるよ。
宇宙もロマンなんだろうな。老舗旅館とは別ジャンルだけども。
浪漫。
これは新しい発見だった。
旅行と浪漫の関係も調べてみたら面白いかもしれない。
〈544.愛しの液体〉
平成の終わり頃には今頃石川の旅館に泊まってるとは思わないだろうな。
時が経つのは早いな。
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僕は牛乳がひたすらに好きである。これは真理だ。
そして旅行先では牛乳を楽しむ。これはもう仕事みたいなもんだ。
そして現在石川県、当然牛乳を嗜む。
ご覧のパッケージ。古臭いなかに最近の雰囲気の混ざったいいやつでしょお?
そして驚いたのが、能登牛乳を使ったジェラートで店が出店していたのよ。こんな感じ。
いやいや!これは興奮してきたな!
牛乳からこんなにマーケティングしてくるとは!これはおもしろい。
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いやね、このジェラート、見た目だけじゃないのがもうほんとずるいところ。おいしんだもん。これで味がコンビニで買えるやつだったらもうガチギレものよ?なのにちゃあんとうまいんだもの。好き。
こういう中身がとてもいいんだけど、それをちゃんとフォロー、そして引っ張っていくプロデュース戦略。ほんと感動してる。牛乳の未来を感じちゃう。
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そういや一年前は令和だとは思ってなかったし、石川に行くことになるとは思わなかった。そこで観光地研究を利用してプロデュースに注目するとは思わなかったろうな。
そんでもちろん、コロナの影響であちこちの美術館やら博物館が厳しい状況になるとは思わなかったよな。
なにごとも突然で強引なんだな。この世は。
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もちろん、牛乳を飲んだ人のうちパッとイメージできた人もいるかもしれないけど、まさか店舗を構えて独自のキャラクターで売り出すとは思ってなかったろう。でもそこには情熱があったから、いろんな強引さとか突発なことに打ち勝ってきて今があるんだろう。そしていま僕の胃袋には大量の牛乳が収まることになっている。
全て未知数だ。
僕らは想像して、計画立てて、予定通り、あるいはちょっとずれても修正できるくらいに、思い通りに進んでいるような錯覚に陥ることがある。地球を人理で統治する気分だが、当然人理を超越する自然とか世界とか宇宙とか。そういうものがある。
僕の今目の前にある、老舗旅館にある古臭い座椅子が世界の覇権を握ってしまう日が来るかもしれない。
わからないよ?なんかあるもん。
牛乳が平和をもたらすかもしれない。なにかあるかもしれない。
love &peace &MILK。牛乳が愛と平和をもたらすんだ。
〈543.熱意への対価〉
石川でドライブ旅行している。
どうせなら広くまわりたいので今日は岬の方に行った。
なんというか。落ち着く田舎だこと。地元のシャッター街を思い出してしまう。こんなにいい田舎なのにやっぱり苦労してるんだろうな。
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そのなかでひときわ輝く場所があった。
「道の駅のと千里浜」「道の駅すず塩田村」このふたつだ。
のと千里浜のほうは、とにかくブランディングがすごかった。いろんな農作物をお金かけて一生懸命工夫、宣伝していた。
ブランディングそのものが良いかどうかは置いといて、とにかく熱意が伝わってきた。たぶん誰かが本気で千里浜を活性化させようとしたんだろうな。ちょっとしたイラスト一つでもかなり変わってくる。
その熱意にお金を落としてきた。イノシシ肉を食べた、と思う。うまくてすぐに消えたのでそれがイノシシ肉なのか気にしなすぎた。
うまいジャーキーだった。
車で砂浜を走れるなぎさドライブウェイの近くということで砂の像がいた。すげえよアーティスト。それとそれを呼び込む熱意。
すず塩田村も、千里浜おなじくお金がちゃんとかかっていた。塩の展示に。
いまでも塩田が道沿いにちょこちょこ見られるくらい、昔から塩産業がさかんだったらしい。それで塩をどうやって作るか、塩の世界はどんなものか。ビデオやら展示やら、しっかり作り込まれていた。たったの100円で。
これまで作り込むのは、ちゃんとしたところからお金が降りてると思うけども、それにしてもよーくできていた。フラッと立ち寄る道の駅じゃないよこれは。目的地としてもいいくらい。
時期は限られてるけど、塩作りを体験することもできるそう。これはまた来るのはアリだ。面白すぎた。写真は下手だけど。
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この二つには熱意を感じた。本気で町のことを想う人が全力で考えた結果なんだろう。
他にもおもしろいところはあったけど、この二つは群を抜いてよかった。
こういう熱い思いにはちゃんと対価が支払われないとダメだよ。貧乏旅行だけど、多めに色々買ってしまった。でもこの出費は良い出費だよ。
いつか仕事にまわったら、そういうふうにしてお金をもらえるようになりたいな。
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ひとりで引きこもって書いてるホウチガとは違って、知らない土地でひとりじゃない環境で書くってのはなかなか新鮮だよ。
いつもと雰囲気が違うとか言われた。
そんなすぐに出るものかしらね。
〈542.素直さ全振り医者卵〉
東京から石川県に夜行バスに乗る。となりにはいつもの親しくしてくれている人。正直夜行バスは嫌いなんだけど。金がなくても旅行はしたい、そんな僕らの救世主なわけだ。
石川県で待つは親しき旧友。
僕と高校の部活を共に戦った戦友だ。
どうせ旅行するなら、こいつもいるし石川がベストだね。
こいつはそれはそれはピュアで悪意の一切ないばかちんだ。そのくせ医者の卵なんだからムカつくやろうだ。テニスだとこいつにアドバイスする側だったけど、勉強じゃあとんでもない。
でも悪意のないそこからの素直なやつだ。
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夕方、飯を食いに行った。僕と僕と一緒に石川に来た親しい人、そして医者の卵。
ぼくはそのふたりともよく話す間柄だけど、東京から連れてきた人と医者の卵は初対面。なぜこんな不思議な会を設けたのは謎だが、どうせなら会って欲しいと思ってしまってたんだろうな。
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医者の卵は、やっぱり素直で良いやつだ。初対面なのにガンガン話していく。いや、気を使ってとかじゃなくて、本人が楽しい話をどこまでも話す。実に楽しそうに。
それが楽なのだろう。連れてきた人もいつもより口数が多いように思えた。
やっぱりこの会はありだったのかもしれない。
楽しくて仕方ない。幸せだ。
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僕はトイレに行くことにした。初対面二人を置いていくのはアレかと思ったけど、医者の卵はこんな様子だし、連れてきた人もなかなか酔ってきたし。大丈夫だろ。
トイレから戻ると案の定、医者の卵が高校の部活の話をしているようだった。
なぜか知らないが、医者の卵から僕に対する評価が異常に高い。やめたまえ恥ずかしい。
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名残惜しい気持ちを抑えて、旧友とわかれた。僕は連れてきた人と一緒に宿への帰り道を歩いた。
「"あいつとは一生仲良くしたい"。だって。」
帰り道にその人が伝えてきた。
医者の卵が僕と仲良くしてたいだとさ。
素直すぎないかい。そんな小っ恥ずかしいことをよくもまあ初対面の人に言えるわね。
そういうところがいいところなんだとはわかってるけどさ。
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素直なことってすごい大切な能力だと思うんだ。
もちろん、医者の卵の野郎も素直すぎるが故にトゲトゲしいところがないわけじゃないんだけど。
とはいえ、仲間からは信頼されると思うよ。この素直さは。
いやさ、そんなん言わなくていいべや。一生親しくしたいだなんて。どうせすることになるだろうからさ!
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素直に言わないから、僕は後悔することになったんだけど。
とはいえ難しいよ。素直に言うのは。
嬉しいんだから。言うべきなのはやっとわかったよ。
俺も一生親しくしたいです。
ね。
〈541.ちっこい店〉
関東にいるということで、やたらめったら東京に遊びに行っている。
しかし、毎度のことながらどこでなにして遊ぶかが困ってしまう。
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このまえは友人の誘いで神保町で古本を漁った。なかなか魅力的な街だった。どこに行っても古本屋。そのそれぞれがなにかしらのこだわりを持っている。
ミリタリーやら近代文豪やら各都道府県の歴史やら。
こういう店をやるのも悪くないな。
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今日は浅草の方で用事があった。しかしだ。出口が多すぎてわからない。なんとなく出た改札が、怪しいくらい地下街だった。
そこには背筋も凍る、昆虫食の自販機があった。なんとなく床も湿っている。
ベトナムだかフィリピンだかの夜を思い出した。これはおもしろい。次の機会があったらぜひとも長居してみたい。
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東京のどこどこに行きたい!というのはないが、どこまでも魅力が尽きない街であることはわかった。
そういう、奥まったような、知ってる人は知ってるような、ちっこい店がすごく好きだ。
だがしかし、対価としてなにかしらを購入しなきゃいけないような気がしてくるから躊躇うところ。
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そういや、地元の群馬にもブラジルからやってきた人があつまる街があったなぁ。あそこはなかなかディープでおもしろかった。
京都の住んでるところにも、友達が住むところにも、ディープなところはある。
そういうディープでニッチなところ。
これは人間らしさが出てきてすごくいい。一見まとまりがなく雑に集められた塊に見えるけど、近くでよくみてみると、なにかしらの軸があることが見える。その軸ってのはその場所を作り出した人、人達の生き方とか考え方とか、そういうものなんだろうな。
人間臭くてすごくいい。
老後にそういうちっこい店をやりたいなぁ。
ぜひ各地のそういう店を歩き回りたい。おすすめを教えておくれ。
〈540.卒業する/した方へ〉
3月21日。
卒業式。おそらくこの時期でしょう。大学生も高校生も中学生も小学生も、もしかしたら幼稚園生保育園生も。
卒業おめでとうございます。
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僕がいえたもんじゃないけど、それでも僕が言えることがあると思って。この話題にしました。
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きっとこれから、身分が変わるみなさんは、忙しくて仕方なくなると思います。そしてなにより、最初は自信をなくしたり、どうしたらいいかわからなくなったりすると思います。
そんなときによく聞くのが、自分の道を振り返ることだと言います。
歩いてきた足跡はちゃんとつながっているから。進んでるんだから。
確かにその通りです。まちがいなく、どんなものであろうと進んでいるんだと思います。
ただ、ほんとうのほんとうに、どうしようもなく辛くなることもあると思います。座り込むことすら辛い。歩いても立ち止まっても振り返っても。
すべてが闇と霧に包まれるような。そんな時間があるかもしれません。
振り返ると足跡はあるかもしれない。でも、立ち止まっても止まることはできないです。
ベルトコンベアーのうえで僕たちは生きてると思うから。
ほんとにほんとに辛くなると、立ち止まることすら辛くなります。振り返ることすら嫌になるかもしれません。だってベルトコンベアーは止まってくれないんだもの。まわりのひとたちはベルトコンベアーを使ってどんどん進んでしまっているような。どんどん遠くに行ってしまうような。
ぼくだけがとりのこされて、ひとりになってしまうような。
そんな気がしてきます。
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もちろん、歩く元気が出てきたら歩いたらいいです。歩く元気がなくなって立ち止まってしまってもいいです。
どんな状態であっても、自分の心と、周りの世界を観察する眼を使い続けなきゃだめです。
辛いなら辛いとノートに書き殴る。悲しいなら悲しいとノートに書き殴る。書き殴りつつ、顔を上げて、家族がどうしてるか、友達がどうしてるか、親友がどうしてるか、憧れの人がどうしてるか。ちゃんと見続ける。
見ているだけでも、取り残される気分は紛れたりするものです。
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立ち止まる元気もなくなって、指先から足先から、砂のように崩れ落ちて、すべてなかったことにしたくなったら。
全ての電源を落とす。スマホもパソコンもテレビも。
頭からタオルをかぶって、目をつぶる。
ずっとずっと。永遠に。
永遠に目をつぶっていたはずなのに。
目を開いてしまった。それでもまた目をつぶる。
そのうち、目をつぶることすらイヤになる。
そのイヤだって感情が合戦の合図。
立ち上がって、立ち向かうんだ。イヤの元凶に。
結局たちむかうことでしか平穏はやってこない。幸せは歩いてこない。
たちむかいかたは色々だ。真っ向勝負、罠と計略、単騎、軍隊、総力戦、戦略的撤退。
その全ての可能性を探って、イヤと向き合わなきゃならない。
ベルトコンベアーは無情なんだ。とまりたくても止まらせてくれない。歩くことをやめると、後ろから来た人が先に行く。なら自分も歩くしかない。
でもベルトコンベアーが止まらないおかげで、あの日の闇と霧をずっと後ろに見ることができたりもするんです。このベルトコンベアーってのは時間ってやつだと思います。
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まとまらないけども、辛くなったら素直になることです。素直になるまでひたすら時間を費やすのは大切です。
素直になる方法の一つとして、過去を振り返るっていうことだと思います。
過去を振り返ることの助けとして、なにがあるっていうと。日記があるんです。
あの日ぼくはなにを思っていたのか。メモに残すだけで、何日か後の闇を照らすことになってくれる、かも、しれません。
せっかくの卒業という節目をきっかけに、日記をつけてみたらどうでしょう。
もちろん、ブログでもいいかもよ?
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なにはともあれ、本当にお疲れ様でした。おめでとうございます。
そしてこれからの活躍をお祈りしてます。
辛い時も楽しい時も。残しておいたらいいことあるかもよ?