〈その9.かえるとこ〉
群馬に帰ると決まってテニスをすることになる。
もちろん相手はバラバラで、高校の部活仲間だったり、中学の奴らだったりする。
それが今日は地区対抗ということで小さい頃から相手をしてくれた地元のテニスクラブのおじさんおばさん、お母さんお父さん世代の方々だった。
そのテニスクラブは家からそこそこ近いし、地区に住む人が市営コートを借りて集まるやんわりとしたクラブ。
今回は地区大会あるから参加しな、と声をかけてくれたのだ。
これだけでも十分幸せなのだが、大会後には打ち上げが開かれた。平均年齢50-60代のなかに21歳が混じる。
関西にいたら聞けないローカルなお話で、なにか懐かしいものを感じた。
そしてお開きにし、家に送ってもらうと
「たつき君、来年も試合出てよね。どうせ長い付き合いになるだろうし。30年後くらいは私の代わりに役員やるでしょ?」
と別れ際に話をしたおばちゃんがいた。
こういうコミュニティはある意味田舎っぽさでもある。飲み会での話題も、どこどこのだれだれがこんなことしている、など。
それでなんだか優しい気持ちになる。
30年後も群馬にいるとは断言できないし、住民票を移しちゃえばなかなかもどってこなくなる土地かもしれない。
だとしても、この人たちがいる間は僕は戻ってきていいんだなあとおもった。
そういう人との繋がり、ぬくもりみたいなものがすごく気持ちよかった。
ネット空間と現実は違うけど、ホウチガもそんな温もりあるところにできる方法はないのかな。温もりってなんだろ。
テニスで疲れたからまた明日考えようかな。
おやすみ。