〈その16.勇気〉
昨日、流石に病院行ったほうがいいなあと思い、重い足を引きずってお医者さんに診ていただいた。お薬をもらって一晩寝るとどうだろう。たちどころに治ってしまった。
病は気から、というのもあるだろうが、やっぱ専門家は強いなあと思った。その中で、あのお医者さんや薬剤師さんは自信があるんだろうなあと顔を見ながら思い、勝手に彼らのこれまでの人生を想像し、感動していた。ありがとうお医者さん、薬剤師さん。表彰しちゃう。
自信がある、っていうことはきっといままで成功してきているから、とか経験を蓄積してきたから、というのがあるのでしょう。
僕のような20代の若造にはわからない素晴らしい世界です。
よくある話ですが、その方もきっと20代の頃はなにもわからなかったんでしょう。若い頃は上司に相談したり、お客さんに処方したりするのにはたくさんの"勇気"が必要だったのでしょう。
そんな"勇気"という言葉、一番大好きで一番嫌いな言葉でした。
肝っ玉極小少年十文字は常に周りの目を気にするし、周りの人の気分を害さないよう慎重に行動することを心がけていました。だから"戦う"という行為が苦手で、小さい時は仮面ライダーより姉と一緒にお人形さんごっこするほうが好きでした。ウルトラマンは見たことがない。
だから部活はしんどかった。勝つのは気持ちがいいのですが、同時に相手に申し訳ない気分があったりしたものです。部活のメンバーも俺より頑張ってるのに俺が代表として試合に出させてもらうのは申し訳なかった。勝負だから仕方ない、と割り切る勇気が足りなかった。
そんなときの拠り所がドラクエの勇者だった。いつでも魔物に立ち向かうし、チームを無言でリードする存在がかっこよかった。勇気、というのは人から信頼を得る過程で必要なモノだと知ったのもドラクエだった。
それから僕は、手の内側に密かに"勇気"という言葉を書いた。テニスをして擦れるとまた書いた。勇気がついたら消そうと思ったけど、結局手からノートに移った後もずっと書いてたような気がする。
心から尊敬する松岡修造さん。先日テレビで勇気についてお話ししていた。
"強い人はそもそも勇気いらないから。弱いからこそ必要なんだ。"
確かになあ。俺が負け続けたあの子は勇気って言葉は似合わないなあ。いつも堂々としててかっこよかった。
その子ではなく、強いけど泣いたりキレたりする子がいました。そいつも僕と同じく勇気とか覚悟が足りてなかった。
でもね、そういう奴が覚悟を決めたとき、勇気を振り絞った瞬間。その顔。その立ち姿。
それがいつも堂々としてる奴よりずっとずうっとかっこよかった。
勇気っていうのは弱い人だけがもらえる、だけどもらうのに努力が必要な魅力なんだと思った。
その結果、お医者さんとか薬剤師さんみたいな優しい笑顔でお仕事ができるようになるんだろうな。
結局、僕が勇気を手に入れたかはわからない。でも、いつかはもっと魅力的で覚悟が決まったいっちょまえの漢になりたいなあと今でもずっと、そっと、思っています。
ついにホウチガものべ300人超えました。本当にありがとうございます。
明日から私事でちょっと忙しくなるので企画とか進められなそうだけど、もっと面白い商店街にできるよう、勇気を持って進んでいきましょ。