〈279.幸せ見張り番〉
なんでぃなんでぃ!
心配してたらただ愛くるしい動物に囲まれてやがったり、難しい話かと思ったら惚け話だったりヨォ!なんか一人は外国の独立記念日喜んで楽しそうにしやがってヨォ!
俺にだって良いことのひとつやふたつ…あ、あるさ!おうともあるさとも!きみたちばっかいい思いしてるわけじゃないんだかんな!
今日バイトしてたらナ!無邪気にはしゃぎまわる小学生5人組がやってきたんだ!そしたらヨ!そのうちひとりがイタズラしたくなったんだろうナ!従業員用の扉を開け閉めしちゃってんだわさ!
リーダー格のでっかいやつが"オイイクゾ!"っつったらサ!その子は慌てて出て行ったんだが、その扉を開けっ放しにしちゃったんダ!
あらまあと思ってあたいが閉めようとしたらサ!その子がテテテと小走りで戻ってきて、わざわざ閉めるためだけに帰ってきたんダ!
カーッ!なんとも可愛らしいじゃねぇの!無邪気な上に、罪悪感に駆られたんだろうヨォ!そいつにおらぁ微笑んでやったらよ!照れて小走りでいっちまったよ!なんともかわいいじゃねぇか!
だれしもちっちゃい頃は無邪気で、素直で、いたずらっ子だったんだろうナ。それが時間が経てば自分を自分で定めたり、まわりから定められたりで、自分とは何かを決めつけるんだナ。
それはもちろんいいことだ。自分が何者かわかっていれば、なにをすべきか、もっと広く言えばなにをして生きていけばいいかわからんだからね。
だけども、そういういたずらとか無邪気さとか、そういうアイデンティティにならないような些細な気持ちっていうのは大事にしたいなと思うんだ。そういう気持ちがあれば、自分を遠くから見つめなおす機会が定期的に戻ってくるんだと思う。
まったくおめでたい集団だぜ!このホウチガっていうのはヨォ!
オメェらみたいなお気楽な奴らは一生幸せになっとけってんだ!
無邪気にはしゃぎまわっているのも悪くないネ!