〈681.戦争勃発〉
8月9日。
怒り心頭、怒髪天を突く、ガチギレ、ムカ着火インフェルノ、逆鱗に触れる。
俺の城をあいつは許可を得ることなく土足で上がってきた。無礼だ。許さない。夏の梅雨明け。アイツの時期が来てしまった。黒光のアイツ。どこからともなくやってきて、気持ち悪さを振り撒くアイツ。
Gだ。
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この部屋に来て一年半経つけども、一度も出会ってなかったと思う。大阪の部屋の時も、4年住んで一回だけだった。
これは運が良すぎただけなのかもしれない。
一昨日アイツは現れ、30分の末に極刑に処した。そりゃあ不法侵入だもの。なによりデカくてキモい、想定不可能な動き。すべてが罪だ。
それでもうこの部屋でアイツに出会うことはなくなるはずだった。
それが今日再臨した。正確には別個体なのは確かだ。色が黒から茶色に変わったし、大きさも小さくなった。成虫じゃないからこれなのかわからない。しかし仮にそうだとしよう。
つまり、私が極刑を下したアイツの子どもが反乱を起こしている。そう考えられなくもない、
そして初代アイツは何人の子どもを残して逝ったのかがわからない。一匹がいたら100匹がいるなんていう話もある。
俺の城は戦場と化した。
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原因は俺にある。部屋をきれいに掃除し、掃除機を定期的にかけ、物は少なく、物陰のエリアは最低限。そうすれば対策を練りやすい。
そのすべて逆なんだから全てをひっくり返して殲滅作戦を実施しなければならない。
そうして今も、奴の一族なのかわからないが、おそらく成虫になる前のアイツを排除した。
あたり余計なことは考えたくない。しかし殲滅作戦が完遂するまでは熟睡できないかもしれない。
せめて「侵入および共生のお伺い」を部屋の主である俺に出せ。すべて破り捨ててやる。
糞食らえ。セネガルの居候先だと枕元に奴がいてもきめえなあと思って流していたが、俺の城となると話が変わる。
明日作戦を決行する。一匹残らず駆逐するまでこの怒りを忘れない。
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戦闘力122日目
870(+3)
勉強+3
それにしてもG殺しのスプレーはすごいな。必ず仕留めてくれるもの。人体に影響ありそうでこわいよ。
明日から俺は暴君になる。