とある男性音楽グループの曲が好きだった。流行りだったし、なによりカラオケで歌えばとりあえず盛り上がる。知っといて損はないね。
初めて買ったCDも彼らのベストアルバムだった。好きだったんだろうし流行りに乗りたかったんだろう。
なのに、それほど聞くこともなく埃をかぶってしまった。いまはどこに置いたかもわからない。
好きだ、と思い込みたかったんだろう。なにしろ流行ってたし、クラスのかっこいいやつは口ずさんでいたし。それに乗っかるはずだったけど、やっぱハマんなかった。
久しぶりにその歌を聞いて、やっぱりまあまあだった。なんでだろうな。あんまり好きになれなかったんだよ。
その話をしてみたら、なかなか鋭い分析をしてくる人がいる。
"めんどくさい男って、コンプレックスがあるけどナルシストだったりするじゃん。それがそのグループだよ。"
わあ。こわあ。
男っていうのは比較しがちとか、社会的劣等感を克服するために努力するふりをするとか、色々手厳しいことを聞いたことはあるけども。
でもこの分析ほど短く鋭利なものはなかなかないぞ。敗北などでコンプレックスを抱える一方、それでも俺には価値があると思おうとすると、ちょっと自認する長所をナルシズムな評価をするようになる。
ちっぽけな長所、明るい過去に縋るようになる。それが固く歪んだプライドになるとなおさらめんどくさい。もちろん、男に限った話じゃあないんだけどね。
かくいう私もコンプレックスは大量に詰めております。顔面も性格も一流じゃないからね。
でもナルシズムには走らないんじゃないかしら。俺の長所って目立っていいものないからね。むしろなにも突出してない事がまんまるで長所かもしれないね。
その程度です。おかげで"めんどくさい男"にならずに済んでるのかもしれない。そう思い込んでるだけでめんどくさい男かもしれないけども…。
ところで、めんどくさくない男ってどうなったらなれるんだろうかしら。
竹を割ったような性格。切り替えが早い人。
つまり目的意識の強化なのかしらね。目的にだけ向かえば、他のことに気を紛らわせられない。強靭な目的遂行へ向かう行動がすべてを占める。
目的意識を強化するには。
わたしにはわからないなぁ。一体どうしたら目的意識は強くなるのだろう。
人一倍の興味か、半端ない覚悟。
このどちらかが必要な気がするな。いや。両方だな。
一般的でない興味をもって、それを覚悟を持って遂行すれば、自分のミテクレのことなんか気にする暇もなくなるだろうな。
結局覚悟がすべてなのかな。
あたいにはまだ覚悟が定まっていないよ。
なにに対する覚悟なのかもわからないね。
社会に出ればわかるかな。