〈192.my business〉
私はアフリカ研究室に所属しているけど、学生も先生もフルメンバーのことがまずない。必ずだれかが現場に行っている。そういう環境が良くて、デスクにこもっている研究室は避けた結果、今の研究室になった。
たぶん多数派ではないかもしれないけど、僕だけじゃないと思う。机に向かうくらいだったら外に出て土いじりしたい。"現場主義"という言葉があるけど。
そんな考え事をしていたり、研究テーマが揺らいだりして、教授に相談した。俺ってどうしたら良いんだろう。表向き研究の相談を持ちかけたけど、たぶん見透かされたのだろう。
"ローカルな問題はローカルな人しか解決できないんです。ヒントを外からもらうことはできる。押し付けられて解決したかのように見せることはできる。でも結局は当人が解決しようとするかどうかだと思うんです。"
アフリカはその顕著な例だ。必死に勝ち取った独立も、数年立てた問題の山に埋もれてしまう。山の片付けをしようとしても大きすぎて難しい。それをみて先進国があれこれ口出しをする。場合によってはショベルカーを発動させる。山が少しずつ削れたように見える。
だけども、消えたはずの山が火口を見せ、噴火をする。
そして新しい山ができる。
だけども、自力でどうにかできた問題もある。完全解決ではないけど、争いを避けることができた例もある。それは結局、ヒントはたしかに外からもらったけど、自分たちの頭と体でどうにかした結果だった。
もちろん、研究者も結局お外のちっちゃいシャベルみたいなもんだよ。お手伝いはできるかもしれないけども。山を作りかねない。
結局、当人なのだ。
マクロな話だけど、おんなじのがミクロにも当てはまるんだろうね。個人の話にも。僕の問題は結局僕が解決しなきゃならない。あなたの問題は結局あなたが解決しないと意味がない。
他人を頼ると残るのは不満やら後悔やらなんだろう。
あーあ。解決させようか。時間はかかるかもしれないけども。逃げちゃダメよ。