〈272.わんちゃん雨ノ神〉
雨だ。今日も雨。だが、雨に対して嬉しいとか悲しいとかいう気持ちより、妥協感のほうが強い。というのも、私は雨男だからである。
さぁ洗濯物でも乾かすかな!とか。
じゃあいっちょランニングでもしてくるか!とか。
そろそろネギ買いに行かないとなぁ。とか。
曇っていたのに、私が家の外に一歩出たら小雨が降りだす。なんて結構日常茶飯事。
とはいえ、私が超人的に雨雲を引き寄せる能力があるわけでは、たぶんないんだと思う。そうだったら、もっと降ってほしい時に降らせるし、ネギの買い出しの時はさすがに引き寄せないと思う。
結局のところ、日常に目に映るものに対する、解釈の仕方が"雨男"なんだと思う。偶然が何度か重なった時、自責にするのかな。
"あぁ、俺のせいで雨が降ったんだな。"
いや、とんだファンタジーボーイじゃないか。雨を降らせるのが自分のせいだなんて、厨二病にもほどがある。神じゃないんだから雨なんか降らせらんないぜ。農民万歳能力じゃねぇか。
いや、逆に考えるんだ。実は私は神なのかもしれない。雨を降らせることだけに特化した現人神なのかもしれない。それならファンタジーボーイじゃなくて、ゴッドマンだな。これなら説明がうまくいくぞ。
いやじゃあさ、私は晴れ男/女といると、なんで降らせられないん?クソ雑魚雨神男なん?せめて曇らせろよ。なんでかんかん照りなのよ。負けるなや。一人の時だけ雨降らせても証拠にならんし。
つまり、雨男とか晴れ女とかそういう類はたぶん、解釈のポイントのフォーカスの仕方なだけだ。雨男雨女は、雨に対する感情が強くて、晴れ男晴れ女は雨を対して気にしない人なんじゃなかろうか。
ついでに私は雨の街が大好きです。ひとりでフード被って人の少なくなった変な空間が好きです。
こういう奴が真っ先に事故に遭うんだろうな。
気をつけよ。雨の時は部屋にこもろうね。