人生はなにが起こるかわからない。だからおもしろい。
ジャングルポケットのコントでボケ担当のサイトウさんがコントの終わりに言った言葉。なにか元ネタがあるのかもしれないけど、良い言葉だね。コントはほんとくだらなくて大好きだけど。
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僕は頻繁に壁打ちをしに自転車で15分くらいのところに行く。大きい公園がある。
その公園のすぐ近くにTSUTAYAがある。そこに入ったことはなかった。でもなんとなしにこの前、壁打ち終わりに入った。
そしたらそこにMONSTERがあった。浦沢直樹さんの漫画だ。王道の漫画についてさえ詳しくない僕がなんでMONSTERを知っていたのか。大学一年まで遡る。
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大学一年の1年間だけテニスサークルに入った。一応大学で一番強いサークルを選んだ。活動場所が別のキャンパスだったからめんどくさかったけど、同じ学部の先輩が面倒を見てくれていた。
一度その先輩の家で飲み会があった。大学のテニサーなんていったらそんなもんだ。毎日どこかで誰かが飲み会を開いている。その一つに過ぎない。
たまたまその先輩の家に1時間早くついてしまった。せっかくだから部屋の片付けの手伝いを頼まれた。本を片付けたり、机を拭いたりしていると、そこにいた。MONSTERが。
なんともなしに開いてしまった。パラパラとめくって本棚にぶち込むはずだった。でも続きが気になって仕方なくなり、掃除は中断、30分だけだったけど4冊読んでしまった。
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それから5年が経った。ほぼ忘れた記憶の奥底から蘇ってきた。たまたまなんともなしに寄ったTSUTAYAの、なんともなしに見た本棚を見て。
あのミステリー。あの残虐。あの恐怖。
そうして今日、18巻を読み終えた。
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僕があの日パラパラとめくらなかったら。
僕があの日早く先輩の家に行かなかったら。
僕があの日テニサーに入らなかったら。
僕があの日大学に入らなかったら。
僕があの日テニスを選択しなかったら。
僕はMONSTERにこういう出会い方をしなかっただろう。この心の浮遊感は得られないだろう。
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不思議な話だった。事あるごとに読み返したくなる話だ。この話に出会うまでにもなにか不思議な運命があった。運命としか言いようがないような偶然だ。
人生はなにが起こるかわからない。だからおもしろい。