9月16日。
かつて、好きなもので殴り合いをしたいという話をしたことがある。僕が好きなものと、君が好きなものを押し付けあうと楽しいという話だ。
あれはボクシングというよりも、プロレスだろうと思う。大事なのは「受け手の態度」だと知ることになった。
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先日、バイト先の人が好きなもので殴りこんできた。僕もその分野については若干の知識があったので、知っているところをちょろっと話してみた。するとどうだ。僕からの応答はスルーして見事に一方的に殴ってくる。
となるとどうなるか。退屈なのである。
好きなものを押し付けるのは良しとしたけども、応酬が必要なのだ。それはやっぱり聞き手がちゃんと返してくる必要がある。この返してくる感じは、いうなればプロレスの攻撃をあえて受ける姿勢だといえるだろう。そして攻守交替のタイミング。
例えばの話をする。
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A「この前食べたラーメンが上手かった」
これに大してBはどのような返答をするのがよいか。
1「おれもこの前食べて上手かったのがある」
2「そうなのか」
3「なにらーめんがうまかったのか」
僕なりの正解は3である。
まず1は論外である。確かに好きなものを押し付けあうのがいいといったけど、自分の話ばかりするのはわがままというやつである。それは小学校を卒業するときに一緒に卒業しなさい。
そして2。悪くはないがよくはない。相手の好きなものに興味があるふうにするのが、好きなものを押し付けあうときのルールである。
3。これが相手にとっては気持ちのいい返事だろう。そして同時に自分の立ち位置も示すことができる。
まず、ラーメンが上手かったという話題提供から、さらに一歩話を進めることができる。醤油や味噌、塩に豚骨。ほかにも多数あるラーメンジャンルから話を絞ることができる。もちろん2の返事をしても話題は進むかもしれないが、話をしたい内容が相手が決まっているときは、聞き手があえて舵を取るといいだろう。
ちょうど「イエスノーゲーム」のような展開の仕方である。
そしてなにより、何ラーメンがうまかったのか、というのは暗に「自分が好きなラーメンがある」ことを示すことができる。ジャンルを絞るための質問ができるというのは、自分がある程度その物事に知識があることを示していると受け取ることができる。
「好きなゲームキャラがいる」
「なんのゲーム?」
わかりやすい話、この質問は自分にゲームの知識があることを前提にしているのはわかるだろう。
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好きなものを提示してくる話題提供者に対して、受け手のポジションを暗に示しながらも話を進める質問ができること。これが好きなものの殴り合いのテクニックである。
となると、相手が好きなものに対してある程度の知識が必要とも言えるだろう。
いや、多分そうじゃない。似たようなジャンルの知識を応用するのが大事だと思われる。
例えば「好きなゲームキャラがいる」「なんのキャラ」に対して「スマブラ」という回答をもらったとしよう。しかしあなたはゲームに詳しくない。その代わり漫画に詳しい。
そしたら、漫画のキャラが好きな場合のような聞き方ができるだろう
「マッチョ系、かわいい系、動物系」のようなジャンルはゲーム問わずサブカル系ならなんだって当てはまる。
こういう感じである。
まったく興味がなくても、それっぽい質問はできると信じている。
「野球選手が好き」という話題提示に対しても「どの球団だ」と聞くことができる。
「阪神」といったらこいつは大阪野郎だとなんとなし推測できる。
それでいい。いずれにせよ、大事なのは相手の話題提供に興味を持つことである。自然に。
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先日のバイト先の殴り込みは、なかなかにしんどかった。
こちらからの反応を全てスルーする。話題提供者は無効だが、こちらの返事に対する応答がない。つまり、攻守交替のタイミングがないということだ。
殴り「合い」であるのだ。攻守交代が常に発生してなんぼである。
相手の反応に興味を持つこと。
これが自分の好きを押し付けるためのお約束である。