〈1092.見え方〉
9月23日。
バイトに向かうため電車に乗る。
AM9時、祝日。
同じ車両には僕と4人家族。
小学校高学年くらいお姉ちゃんはお母さんと行儀よく隣り合って座っている。
中学年くらいの妹ちゃんはお父さんとドアにもたれかかって外を見ている。
たぶんあんまり寝てないんだろう、落ち着いていられない割には疲れた顔をしている。
終着駅には動物園がある。おそらくそこに行くんだろう。
うらやましい。
家族で動物園に行ったらどうやって回るんだろう。
お母さん・お姉ちゃんペア、お父さん・妹ちゃんペアで分かれるのかしら。
電車の中だけお父さんといるだけで、ついたらお父さんは列に並ぶ役だったりするのかしら。
終着駅で僕もおりて、その家族も降りた。
そのあと家族がどこに行ったのかはまったくわからない。楽しんでいたらいいなあ。
。
帰りの電車はスーツを着たおじさん・おばさんたちと一緒だった。
祝日だけど関係なく出社する戦士たちである。
18時。
ぎちぎちに詰めて椅子に座っている。寝たり、本を読んだり、スマホをいじったり。
そのそれぞれに目的の駅で降りていき、乗り換えがあるところでたくさんおりて、同じような人たちが乗ってくる。
ビールを飲んでる人もいるし、パソコンを広げる人もいる。
それぞれの生活がある。
僕はバイト終わりのラーメンに満たされた胃袋を抱えて車内広告を見るともなしに見ていた。
。
同じ路線なのに、朝と夜でまったく違う顔をしている。
もしかしたら見ている僕側の問題なのかもしれない。
余裕があれば楽しそうに見えて、余裕がなくなれば疲れているように見える。
きれいに晴れた日も、太陽がギラギラと照りつける敵のように見えるときもある。
洗濯物を干せずに暗くなる雨も、新品の傘をお披露目する日にもなる。
明日はどんなふうに街は見えるんだろう。
早く寝よう。