カモメと青二才の小僧
外でキューキューとかもめが鳴く声がする
二日酔いで腫れた目がわずかに数センチ開いた。ベッドから遠く離れたところにある窓とカーテンの隙間からは淡いオレンジ色の日差しが差し込んでいる。
まだ太陽が昇り始めたばかりなのだろう
寝ぼけた頭でぼんやりとそんなことを考えながらよいしょと立ち上がり窓の外に目をやると、どうやら僕が聞いていた声はかもめではないようである。歩行者用信号の音だった。なんだつまらん。
ここが海辺でないならどこだと辺りをぐるっと見渡して、そうだ思い出した。この部屋はもんじゃの家だ。昨晩はサークルのみんなでお別れ会があった後に、なんとも言えない虚無感に苛まれ無理を言ってもんじゃの家に押しかけたのだ。
それから2人でお酒を買い夜遅くまでいろんな話をした。だが、さっきから朝の4時まで話した内容をここに書いては消し、書いては消しを繰り返している。なんだか今更になって文字として留めておくのは野暮な気がしてきた。
あのアトモスフィアは何年か経って、ぼんやりと思い出してにやにや笑えるようなものとして懐にしまっておきたいという風に考えてしまったのである。そういうこともあるでしょう
それから身支度をして、別れを告げた。
鴨川沿いを歩いていたが、帰り際に少しの高揚感が残っていた。お酒がまだまだ抜けてないせいだろうか
ふと、これまでに幾度となくこの川は僕のような青いガキを見届けてきたのかと思うとなんだか恥ずかしくなって、下を向いて俯いて歩いているともう京都駅まで着いてしまっていた。
青いガキでいいじゃないか。若さこそ武器だ。バカでいよう。無知でいよう。素直でさえいればいい。
と開き直ることが大切だと最近は自分に言い聞かせている