ホウチガブログ

~方向性の違いでブログ始めることになりました。~

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〈145.ネパールの村の話〉

2月20日。太陽がまだそれほど登ってないはずの時間のはずだ。日本ではスーツの人が電車に揺られ始める頃、ネパールの外では賑やかな声とともに金属がぶつかり合う音やらものが動く音が響いている。

工事が早くから始まり、僕のネパール生活も始まった。

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今回の旅は、ネパールでインターンをしている農学プロの卵さんに案内してもらっている。とりあえず卵さんと呼ぶことにしよう。卵さんに先導されるがままに、現地の人がワサワサと集うバスプールに着いた。バスプール近くの簡単なご飯を出してくれるところでモモを食べ、そこから5時間バスに揺られるはずだった。

定刻のはずだが動かない。動き出したと思ったら長時間の荷物運び入れ。いわゆる大型バスの客席の間の通路にドカドカとセメント入りの袋が積まれていく。そしてそのセメントの袋の上に座るお客さん。砂煙。

予想はしていたが、やっぱりネパールだった。ケニア滞在で慣れてるつもりだったが、この感じはいいぞ。わくわくさせてくれるじゃん。

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コンクリートでもそこそこ揺れたが、オフロードになれば乗馬並、いやむしろ競馬並みの大地震だ。車に弄ばれるとは人生初だ。車内はわからない言葉でいっぱいになる。そしてバスの天井の上には人が乗っていることが影で確認できた。切り立った崖スレスレのところを、車幅感覚かっちりの運転手がクラクションを騒がしくさせて走らせる。それなのに隣の席の現地に溶け込んでいる卵さんは寝ている。なんだこの空間。頭で理解できるもんじゃないぞ。なんでかわかんないけど楽しい。楽しい、のか?

 

 

結局14時くらいに着くはずだった目的地には15時を過ぎて到着した。そしてそこからが本番だった。

山登りを皆さんはしたことがあるだろうか。鬱蒼とした森の中をてくてくと登る。時々階段があったりする。岩を登るなんて一回あるかないかじゃなかろうか。

そんなんじゃない。登山ではなく、村に行くためには、その登山を超える登山をしなければならない。少なくとも霊長類が歩く道ではないと思う。わずか30センチほど,ヤギとかそういう類の獣が使う道だろう。角度もなかなかのものだ。太ももをあげないと前に進めない。次の足を出すためにふくらはぎがやたら意識される度々の休憩。眼前に広がる大地と河。そして崖。滝の汗ダクダクの私を涼しげに、通いなれた卵さんがスイスイと案内をする。この山に住む方たちはサンダルでガンガン走り回る。慣れるって、すごい、というか怖い。

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1時間の予定が倍くらいかかってしまった。やや暗くなる中でお泊まりさせてもらう家に着いた。電気も通っているし、水もある。こんなところによく通したな。人類の繁殖能力は恐ろしいぞ。

現地の家庭料理っぽいカレーと、ライスの代わりのトウモロコシを潰して蒸したもの。葉物たっぷりでなかなか健康的なのだが、やっぱり辛い。飲み水はカトマンズからペットボトル日本ほどしかないのに。飲むしかないじゃないか。トウモロコシをなんかしてできたお酒をいただいたが、カレーが辛いし、お酒は強いし、お口の中が大惨事だ。しかも量がこれまたすごい。せっかくのものだからお残しは許されない、っていうのは日本人精神らしいけど、やっぱりここでも発動した。うーん。明日の胃が心配だ。

ちびちび食べてる時も時々心配そうにこちらを見てくれる。優しいお父さんお母さんだ。

 

日も暮れて、すっかり寒くなった。綺麗に澄んだ空気。幸運にも月がまんまるのでっかい夜であった。別の斜面に住んでいる村民が結婚式だったと聞いた。遠くからナウいネパール音楽が流れている。虫の声と遠くから微かに聞こえるネパール音楽、そして月と星。見惚れ、耳でも惚れる。

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あんまり外にいると虎に襲われるとか襲われないとか。21時だがご主人と奥様がおやすみになる。締め出されちゃうとほんとに餌になるので家に戻った。

 

ベッドに横になるとバスと登山の疲労に襲われる。

明日は農地に行って様子を見させてもらう。どんな生活をしているのだろう。遠くから響く音楽とともに心がふくれ上がる感覚を確かに感じた。今日はいい夢を見れそうだ。