昼寝をしていると嫌な夢を見た。私の夢をかつて否定した男。私は彼の言い分に"また"従おうとしていた。
"その夢は誰のためなんだ。もっとやるべきことがあるだろう。"
かつて私は半ば本気で民俗学者を目指した。妖怪を生み出した人間の文化・社会、いまに生きる妖怪について知りたかった。
だけど確かに違和感があったのも事実だった。だから男に逆らうだけの勇気がなかった。
悪い目覚めを晴らすために、映画を見た。旧友が勧めてくれた「グレイテスト・ショーマン」。夢、仲間、恋、家族、自分。大事なことをぜんぶ盛り込んだ、それでいて爽やかな終わりだった。
返却のために向かう夜の道はステージになった。そして僕は僕のためのショーマンになった。歌を歌い、ステップを踏み、ポージングを決めた。拍手にも応えた。体を動かさずにはいられない、歌わずには言われない。魂の震動とでも言ったらいいのか。そういう映画だった。
僕は僕のままでいい。"ありのままの自分"って歌う姫とかいたな。そういうことだ。
僕はカゴの中の鳥じゃない。社会とか権威とか、そういうのは抜きに一動物のヒトとして人と関わりたい。僕は僕であなたはあなた。
僕はサーカスを率いるショーマンにはならないけども、人を楽しませる、そんな人生を送ってみたい。きっと違和感を拭い去ってくれる。そうだ。
"僕は僕のために勉強をする。妖怪もアフリカも勉強する。それを使って誰かのために面白い話を書く。それが僕のすべきことなんだと思います。"
私は、男とその後ろにいる私はどういう表情をするだろう。