〈1275.働く学生〉
3月25日。
最終日。
学生として働く最後。アルバイト生活最後。
なんだか色々思うことがあったような出勤だったけど、お客さんが来てからはずっとバタバタである。
気がつけば日は落ち、お客さんはいなくなる。
スタッフ同士、今日がラストだね、なんて話をするとようやくエモーショナルな気分になる。
たぶん、今後一生会うことはないだろう。
思い出すこともほとんどなくなるだろう。
連絡を取ることもたぶんない。
短かったけど、半年と少し。楽しい場所だった。
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思い返してみて、なにが一番楽しかっただろうか。
職種はまだしばらくは明かさないほうがいいと思うけど、接客業ではある。となると、お客さんとのコミュニケーションだろうか。
質問に答えられた時、助けることができた時。そんなに回数は多くないけれど、そこかしら。あとは、アドリブで楽しませることができた時かな。
スタッフ同士の楽しかったこと、というのもないわけではない。でもお客さんが本気で笑っている時というのは気持ちがいいもんだ。
まったく知らない人間を、自分のアドリブつまり応用力で楽しませることができた時。
これがいちばんの収穫だったのかもしれない。
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あとは、人間っちゅうのはけっこう雰囲気でどうにでもなるということだ。怖いというのも、楽しいというのも、前情報で決まってくる。いかにして思い込ませるかが大事だ。
それと、その思い込みが現実になる時のタイミング。勢いが必要な時と間が必要な時。どちらもある。
そんで、いかなるときも人は目を見て相手を判断しているということだ。
目が合えばちゃんと接客している、私を個として認識していると思ってもらえる。わざと視線を外せば、いまは接客はしていないと思われる。
そういう人間の行動観察にも良い時間だった。
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あとは、そういう接客で生きているスタッフの生活というのも知ることができた。
極論を言えば、接客はほとんどルーティンワークである。研修さえクリアしてしまえばほとんど同じ仕事である。
そこに平穏を求めれば、仕事はただただ無駄な時間である。お客さんに最低限の礼節を持って対応すればいいだけだ。そしてあとはお給料をもらって終わり。
そこに楽しさを求めれば、いつか別のステージに進みたくなるみたいだ。
働くっていうことの、なにか根元に近いようななにかを見つけることができたのは、そういう社員との距離が近いのもあったのだろう。
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接客という面でも、人間観察という面でも、仕事と生活のという面でも、ライフステージという面でも。いろんなところで勉強になることが多かった。
学生最後のバイトが、なかなかない仕事でよかった。またいつかお客さんとして行きましょう。